特集
1次構造物、クラッシュ構造物にCFRPを適用して軽量化しよう:CAEイベントリポート(2/2 ページ)
軽量化に有効なFRPの適用箇所や適切なシミュレーション方法について、本田技術研究所が語った。
FRPは試験が増加しがち
漆山氏はFRPの強度計算について語った。FRPは鉄などと比べて非常に設計が難しいと考えられる。クーポン(切り取り試片)テストで引っ張り試験や曲げ試験、CFRPは剥離試験を実施して、得た情報から成形物ができると考えると、実は大きなギャップがあるという。これは実際に試験された形状と使用される形状との差が大きく、破壊モードがたくさんあるため、その形状差によって、どの破壊モードが引き金になるかを見積もるのがなかなか難しいからである。そのため実形状の強度確認が増える傾向にあるという。
そこでシミュレーションが必要になるが、それには損傷力学を取り入れたメゾレベルのシミュレーションが有効だという。シミュレーションのスケール定義としてミクロ、インフラメゾ、メゾ、マクロに分類される。ミクロでは繊維(fiber)までモデリングして、樹脂部分も再現する。インフラメゾは繊維(tow)と樹脂、メゾでは層内と層間として考え、マクロではまとめて積層材とする。織り方を決めて研究するならインフラメゾスケール、設計要素として考えた時はメゾスケールが適当ではないか漆山氏はいう。さらにメゾスケールでの解析をする際のポイントが、損傷力学のダメージモデルを適用することだという。漆山氏はこれらを使ったいくつかの解析例を紹介し、ダメージモデルはクラッシュの解析にも有効で今後、発展が期待できるとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 時代はバーチャル! モノづくりの形を変えるVR
設計プロセスでのVR(Virtual Reality)技術の活用は着々と進んでいる。リアルなイメージを試作前に作成、活用することによる効果は思いの他大きいという。 - 欧米発CAEはとにかく高い! ――設計者CAEのあるべき姿とライセンス費用の問題
設計者自身によるCAEの浸透・発展を阻んでいるのは、CAEソフトの煩雑になりがちなオペレーション(使い勝手の問題)や、ライセンス費や教育費など「CAEの運用コスト」。――日本機械学会 設計工学・システム部門による講習会で、企業や教育現場におけるCAE導入の課題提示や、ライセンス費の問題提起が行われた。 - ホンダが創エネ事業を拡大、SOFCコージェネ、スマートホーム、電力供給PHEVも
ホンダは、創エネルギー(創エネ)製品の展開を強化する。コージェネレーションユニットは、ガスエンジンに加えて、固体酸化物形(SOFC)燃料電池を用いるタイプの開発に着手した。さらに、東芝との提携によりスマートホームシステムの開発を加速させ、2015年に一般販売を始める。2013年に発売するプラグインハイブリッド車(PHEV)は、外部への電力供給機能を搭載する予定だ。