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9速ATでもまだ足りない!? 燃費向上に役立つ変速機の多段化今井優杏のエコカー☆進化論(15)(4/6 ページ)

日々進歩している自動車技術は、その全てが自動車メーカー発というわけではない。自動車メーカーに部品を納めるサプライヤ発の技術も多くある。筆者の今井優杏氏がそのことを実感させられたのが、ドイツのZFが開発した9速ATだ。

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変速機を主力事業とするZF

 先述した通り、ZFのキラーコンテンツはなんといっても変速機。多くのメーカーがオファーを出す人気商品です。上海で行われた試乗会には先述したイヴォークやチェロキーの他、ZFが手掛けたクルマが多く用意されていました。例えば「BMW 3シリーズ」やポルシェの変速機もZF製ですし、アウディでも採用されています。

 また、モータースポーツ向けにも多くのクラッチを提供していて、日本国内レースでもスーパーGTのシリーズパートナーになっています。以前紹介したWEC世界耐久選手権(関連記事:ハイブリッドレースカーが火花を散らす、今WECがアツイ!)では、2014年のマニファクチャラーズとドライバーズ、両方のチャンピオンを獲得したトヨタ自動車と、「ル・マン24時間レース」を制したアウディ、両方のチームがZFのクラッチを指名しています。

ZFの9速ATのカットモデル
ZFの9速ATのカットモデル(クリックで拡大)

 このようにZFの変速機は欧州では高級スポーツモデルで多く採用されていて、先述のBMWのような後輪駆動車や、アウディの四輪駆動車とのマッチングは既にバッチリ。

 で、そこからの9速ATユニット(ZF式に言えば9HP)です。

 この9HP、実はもう1つひっくり返りポイントがあって、なんとエンジンをフロントに横置きするFFレイアウトに対応させた、非常にコンパクトなATだということです。

 ご存じの通り今や世界の75%がFF車ですから、FFにも搭載できる多段ATを開発できたということは、それだけ多くの車種に対応させられるという意味でもあります。

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