日本企業のM&Aは39%が失敗!? 成功に導く2つのポイントとは:製造マネジメントニュース(2/3 ページ)
アクセンチュアは、新たに日本企業がASEAN企業のM&Aを行う際に効果を最大化する支援サービスを開始する。
M&Aで早期収益化を実現する2つのカギ
横瀧氏は「買収後の企業統合を成功に導くためには2つのポイントがある」という。1つ目が買収後の企業価値を左右する「“スピード”と“価値向上”の2つのドライバーを見極める」という点、2つ目が「グローバルマネジメントモデルを確立・導入する」という点だ。
横瀧氏は「1つ目のポイントは買収そのものに関すること。買収後の企業価値はより短期間にどれだけ大きく企業価値を高められるかの掛け算で決まる。スピードを速めるために何ができるか、価値を高めるために何ができるかということを考えないといけない。2つ目は組織全体に関することだ。異なる文化の集団を一体とするのだから、グローバルでのマネジメントモデルが確立していなければ、共に動くことは不可能だ。そのモデルを確立しておき、1つの規則で動けることが望ましい」と話す。
2つのドライバー
スピードドライバー
企業統合を行うには統合までに約400のタスクが存在するといわれている。タスク間の関連性を明らかにし、新会社設立までに最も時間がかかると見られている一連のタスクを「クリティカルパス」とし、統合後の新会社として業務を開始する日の最短化を図るというもの。その最短化を実現しうる要素が「スピードドライバー」(図4)。
バリューアップドライバー
M&Aにより達成した目標に対し、それを実現するために「なくてはならない要素」を「バリューアップドライバー」とする。この要素を失わずに企業価値創出のタイミングで拡大するための計画を行う。
「例えば、M&Aが代理店買収で、目的がマレーシアにおける売上高拡大だったとした場合、その目的を達成するために不可欠な要素として、その代理店が持つ『既存の重要顧客』があることが分かる。またその重要顧客との関係を維持するためには『その既存顧客と強固な関係を構築する営業マネジャー』が重要な要素となる。こういう要素が把握できていれば、M&A後に営業マネジャーが離反しそうな状況を察知し先手で対策を打つことができる」と横瀧氏は説明する。
グローバルマネジメントモデル
異なる文化や商習慣、言語などにおいて、統合後に組織を計画通りに運営するためには『確立された仕組み』が必要になる。その手法としては全社員を組み込んだリポーティングラインや、目標数値(KPI:Key Performance Indicators)の設定が必要になる(図6)。
「これらの利点は、グローバル本社から社員まで同じ数値を見て行動をコントロールできる点にある。これらに社員1人1人の具体的なKPIを定めることで、全体的な成果を数値で管理することができるようになる。ただ、KPIの設定には、経営目標のような大きなモノだけでなく、行動レベルで把握できるようなプロセスKPIとして設定することが必要となる。例えば営業マンであれば『売上高目標』だけでなく『訪問件数』や『提案数』など、社員それぞれが自分でコントロールできるような指標を設定すべきだ」(横瀧氏)。
「日本企業はこれらのポイントにおいて、グローバルでM&Aを行った際に、有効な手段を取ることができていない場合が多い。そのため十分な効果が得られてない」(横瀧氏)という。これらの不十分な所に対して支援を行っていくというのがアクセンチュアの取り組みとなる。
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