所有権や著作権にしがみつく時代ではなくなる?:zenmono通信(2/3 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、シティライツ法律事務所の水野祐さんにお話を伺った。
水野氏 漫画調にしている規約もそうですが、何よりも「第31条」が前代未聞です。
enmono宇都宮氏 最後に宣言しているんですよね。「本規約に同意したメンバーは、ワクワクしてモノづくりすることを誓うものとします。さあ、一緒に世界を元気にしましょう」と。zenmonoの会員になるということは、「ワクワクすることを誓いました」ということになるのです。
水野氏 法的には問題はありませんし、私も一緒に作業していて楽しくて、勉強になりました。
enmono宇都宮氏 クラウドファンディングでは「お金を投じてもプロジェクトが成功しない限りはモノが生み出されない」ということを理解してほしくて、プレイヤーの方にも「まじめにモノづくりをする義務」を負うことを重視してもらいたくて、利用規約について水野さんと話し合ったわけです。
水野氏 インターネットを使う側のリテラシーとして、利用規約を必ず読む時代になってくると思います。
enmono宇都宮氏 われわれも時代とともに規約を変えていきますし、読まれた方から意見をいただきながら改訂をしていきたいと考えています。
水野氏 製造物責任についての規定や、インターネット上にアイデアを上げてしまった時に特許の要件である新規性が喪失する可能性について、規約でカバーしているのも特徴ですよね。
enmono宇都宮氏 マイクロモノづくりは、開発から量産、販売まで、必要なプロセスがたくさんあります。zenmonoにモノづくり系のコアな情報をどんどん掲載していって、「ここに来れば、いろんなリソースが集まっている」と言われるサイトにしたいのです。
水野氏 zenmonoはクラウドファンディングがサービスの軸にはなっているんですけれど、サービスのコアは、クラウドファンディング以外のところにあると、お手伝いをしていて感じました。
enmono宇都宮氏 サービスなどはまねできても、enmonoや水野さんがzenmonoに注ぎ込んだ精神は、まねできないと思うんですよね。zenmonoは「面白いことをしよう」とモノづくりに関わる人が増えるといいなという狙いでやっています。お客さんではなく参加者であり、お金を払うのではなく参加費に近くて。皆がいずれ、プレイヤーになっていって……。
enmono三木氏 成功したプレイヤーが次はパトロンになり、サポーターもプレイヤーになっていくという。
enmono宇都宮氏 未来を考えれば、プレイヤーしか食べていけないと思うんですよ。一人一人が、依存ではない稼ぎができるようになっていかないといけない。
水野氏 なるほど。デザイナーやモノづくりメーカーが自給自足をするためのサービスなんですね。農家が畑を持つような。
enmono三木氏 リアルなイベントも、年2回、開催予定です。プレイヤーやパトロン、サポーターの方が集まるオフ会のような、苦労話などを共有していく、新たな出会いの場にしたいと考えています。
水野氏 モノづくりのクラウドファンディングが、実際、モノに触れられない点についてはどのようにお考えですか。
enmono三木氏 触れられないモノをいかに表現していくか、という訓練をモノづくりの人がやっていかないと、広まらないんです。その練習の場となるかな、と。
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