ホンダのセダンタイプ燃料電池車はなぜ5人乗りを実現できたのか:トヨタ「ミライ」と比較(3/4 ページ)
ホンダが発表したセダンタイプの新型燃料電池車のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」は5人乗りを実現している。トヨタ自動車は、同じセダンタイプの燃料電池車「ミライ」を2014年内に発売するが4人乗りだ。両車の違いはどこにあるのだろうか。
異なるのは二次電池と昇圧コンバータ
燃料電池車の重要部品の構成で異なる点が2つある。1つは二次電池だ。Honda FCV CONCEPTは、FCXクラリティと同様にリチウムイオン電池を採用する。開発責任者の本田技術研究所 四輪R&Dセンター LPL 主任研究員の清水潔氏によれば、「燃料電池という豊かな電力源があるので、リチウムイオン電池は電気自動車向けのように大容量である必要はない。ハイブリッド車で使っているものに特性は近い」という。
一方、ミライについては二次電池の詳細は明らかにされていない。ただし、「ハイブリッド車と部品を共用することで700万円程度の価格に抑えられた」(トヨタ自動車)というコメントもあり、ほとんどのハイブリッド車で用いているニッケル水素電池を採用する可能性が高い。
もう1つの違いは昇圧コンバータだ。ホンダの燃料電池車は、次世代パワー半導体であるSiC(シリコンカーバイド)デバイスの採用により小型高出力化を実現している。ミライは昇圧コンバータの詳細は明かされていないが、こちらも既存のハイブリッド車との部品共用を前提とすると一般的なシリコンデバイスを用いていると考えられる。
重要部品の配置方法で乗車定員に違いが出た?
この2つの違いだけが理由とはならないかもしれないが、Honda FCV CONCEPTとミライでは燃料電池車の重要部品の配置が異なっている。
まずHonda FCV CONCEPTは、燃料電池セルスタック、昇圧コンバータ、走行用モーターとインバータ、空気を燃料電池セルスタックに送り込む電動コンプレッサといった部品を燃料電池パワートレインとして1パッケージにまとめ、エンジンルーム内に配置した。
一方ミライは、走行用モーターとインバータをエンジンルームに、昇圧コンバータと燃料電池セルスタックを一体化したユニットを車室床下に設置している。
両車両とも水素タンクは後部座席と荷室下部に置いている。二次電池は、Honda FCV CONCEPTが車室床下、ミライは荷室下部の水素タンクのさらに下方にある。
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