「Windowsハードウェア認定」があなたの製品の価値を上げる(前編):Windows 8 デバイスドライバ開発入門(3)(1/3 ページ)
Windows 8対応のデバイスドライバを開発する際に、“知っておくと便利なポイント”を実践的な観点から紹介する連載「Windows 8 デバイスドライバ開発入門」。今回は、「Windowsハードウェア認定」について、実践的な観点から説明していきます。
はじめに
先日、Windows 10のTechnical Preview版がリリースされました(関連記事:「Windows 10 Technical Preview」提供開始)。
ネーミングに注目が集まっているようですが、真相はどうなのでしょうか。筆者も、フライングしてWindows 9になるという前提で資料を作成していたため、当日発表されたネーミングを見て焦りました。
Windows 10では、Windows Phone、 Windows Tablet、Windows Desktop PCなど、全てのデバイスのカーネルが、1つに統合されると聞いています。これにより、ソフトウェア開発者が、新しいフィールドに踏み出すチャンスが生まれることを期待しましょう!
さて、Windows 8対応のデバイスドライバを開発する際に、“知っておくと便利なポイント”を実践的な観点から紹介してきた連載「Windows 8 デバイスドライバ開発入門」。連載最終回となる今回は、Windows 10になってもきっと残るであろう、「Windowsハードウェア認定」について、実践的な観点から説明していきます。
いつもより少々長いですが、最後までどうぞお付き合いください。
Windows 8 デバイスドライバ開発入門 バックナンバー
・Windows 8 デバイスドライバ開発入門(2):知っておくと便利な「Visual Studio 2012」によるドライバのトラブルシューティング
・Windows 8 デバイスドライバ開発入門(1):知っておくと便利な「Visual Studio 2012」によるテスト署名
Windowsハードウェア認定とは?
Windowsハードウェア認定とは、Microsoftが定める認定制度のことです。ちまたでは「Windowsロゴを取る」と呼ばれることが多いですが、「ロゴを取る」 = 「Windowsハードウェア認定」を受ける、ということです。
この認定を受けた製品は、「Windows上で動作させるためのMicrosoftが定めた基準を満たしており、安心して使用できる製品である」ということを、顧客に伝えることができます。
Windowsハードウェア認定を受けるためには、Windows Hardware Certification Kit(HCK)を用いた認定テスト(HCKテスト)に合格する必要があります。HCKのテスト対象は大きく分けて、以下の3種類が定義されています。
(1)システム
「PC全体( = システム全体)でロゴを取りたい」という場合は、このカテゴリでテストをします。XXXカメラなど大型販売店の店頭にずらりと並んでいるPCは、Windowsを搭載しているのであれば、大抵はこのカテゴリでテストをして「ハードウェア認定」を受けたPCです。
(2)デバイス
「デバイスのロゴを取りたい」という場合は、このカテゴリでテストをします。デバイスが、ベンダー独自のドライバではなく、Windows標準のドライバで動作する場合でも、ロゴを取るのであれば、このカテゴリでテストをして「ハードウェア認定」を受ける必要があります。
(3)フィルタ
ファイルシステム用フィルタドライバや、アンチウイルスソフトなどのロゴを取りたい場合は、このカテゴリでテストをして「ハードウェア認定」を受ける必要があります。
ハードウェア認定を受けると、Microsoftから「あなたの製品は安全です」というお墨付きをもらえるわけですが、そんなものをもらわずとも、安全に動作している製品は、世の中にたくさん存在します。また、ハードウェア認定には、手間も時間もかかります。つまり、それなりに、大変です!
では、ハードウェア認定を受けるメリットとは、一体何なのでしょうか?
[ハードウェア認定を受けるメリット]
- Windowsのロゴマークを製品に使用できる。
- Microsoftのデジタル署名が手に入る。
- Windows Updateからドライバを配布できる。
- 認定された製品としてさまざまなカタログや互換性センターに公開できる。
- マーケティングにおけるさまざまな優遇措置と、ロゴライセンスの資格を得ることができる。
ちなみに(1)のロゴマークですが、色はPurple (PMS 258)、 Dark blue (PMS 286)、Cyan (PMS Process Cyan)、Blackの4種類から選択できます。このマーク(*)をもらえると、ちょっとうれしいですよね。
前置きが長くなりましたが、結局、ハードウェア認定を受けることは、その製品に箔がつくということではないでしょうか。それによって、Microsoftがこれでもかというくらい、特別扱いしてくれるわけです。
今回は、ハードルが高くてためらいがちな「ハードウェア認定」について、皆さんがつまずきそうな部分を重点的に説明していきます。
ハードウェア認定までの長い道のりをクリアした暁には、「この製品はMicrosoftからも認められたのだ!」と胸を張って、Windowsロゴのシールを貼って、堂々と宣言しましょう。
(*)マイクロソフトのページ以外で正式なロゴマーク画像を掲載することは禁止されています。筆者作のロゴマークのイメージはこんな感じです。これを製品に貼ると筆者がマイクロソフトから怒られますのでやめましょう。
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