「レクサスRC F」を意のままに走らせる、FR車で「世界初」の駆動力制御システム:レクサスの「F」を受け継ぐ
トヨタ自動車の「レクサスRC F」は、サーキット走行が可能なプレミアムスポーツカーであり、2007年に発売した「レクサスIS F」の後継モデルである。意のままの走りを可能にするため、「FR車で世界初」(同社)となる駆動力制御システム「TVD」を採用した。
トヨタ自動車が2014年10月23日に発売した「レクサスRC F」は、サーキット走行が可能なプレミアムスポーツカーであり、2007年に発売した「レクサスIS F」の後継モデルとなる。同日に発売したスポーツクーペ「レクサスRC」をベースとしているものの、エンジンはもちろん、足回り、空力パーツ、各種専用装備を採用しており、レクサスRCとは全く異なる車両となっている。
レクサスRC Fの価格は953万〜1030万円。2014年11月から北米やオーストラリアをはじめとするグローバル展開を始める。世界全体での月間販売目標台数は350台で、このうち日本市場は30台。
競合となるのは、レクサスRC Fと同様にスポーツクーペをベースとするスポーツカーだ。BMWの「M4 クーペ」、Audi(アウディ)の「RS5 クーペ」、Daimlerの「Mercedes-Benz C63 AMGクーペ」などだ。
「レクサスRC F」のベンチマークは「IS F CCS-R」
レクサスRC Fの開発を担当したのは、トヨタ自動車 Lexus International 製品企画 主幹の坂本守氏だ。レクサスIS Fの開発を担当した坂本氏は、レクサスブランドのスポーツイメージをけん引する「F」モデルを熟知している。「レクサスRC Fのベンチマークは、競合車両ではなく、レクサスIS Fをベースに誰でも扱えるサーキット用車両として開発した『IS F CCS-R』。今後はレクサスRC Fを、モータースポーツ参戦車のベース車両にしていく」(同氏)という。
レクサスRC Fは、レクサスRCをベース車としながらも、排気量5l(リットル)のV型8気筒エンジンやワイドタイヤを搭載するために、フードの大型化やフェンダーの拡幅、フロントとリヤのバンパーを専用設計し、リヤオーバーハングを延長した。外形寸法は全長4705×全幅1850×全高1390mmとなっている。
エンジンは、排気量5l、V型8気筒、自然吸気という点はレクサスIS Fと同じだが、シリンダーブロック以外の部分は全て新設計とした。直噴機構「D-4S」の搭載や吸排気バルブの開閉タイミングを制御する「VVT-iE」の最適化などにより、最高出力は351kWを実現。最大トルクは530Nmとなっている。最高性能のみならず、市街地などでの巡航速度走行では燃料燃焼をアトキンソンサイクル化して、排気量4.2lエンジンと同等の燃費性能になるという。
「サーキットは公道の延長線上にあるもので、走りを安全に楽しめる場所だ。そのサーキットで意のままのハンドリングを実現できるようにした」と坂本氏が言う通り、サスペンションやブレーなどの足回りにも専用チューニングを施している。サスペンションは、フロントはレクサスGS、リヤはレクサスISのものをベースにしているが、約70%の部品を新規開発している。ブレーキも、フロントにアルミ対向6ピストン、リヤにアルミ対向4ピストンのモノブロックキャリパーを採用するなどして性能を高めている。
意のままの走りを可能にするため、「FR車で世界初」(坂本氏)となる駆動力制御システム「TVD(Torque Vectoring Differential)」を採用した。走行状態に応じて後輪左右の駆動力を最適に電子制御するシステムで、コーナリング中の駆動力を適切に制御することで、理想的な車両挙動を実現する。タイヤのグリップ性能も最大限に引き出せるので、まさに“意のままのコーナリング”を楽しむことができる。またTVDは、標準の「STANDARD」とステアリングの応答性を重視した「SLALOM」、高速サーキット走行時の安定性を重視した「CIRCUIT」の3つのモードに切り替えることが可能だ。
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