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デザインとは「形だけではなく、社会の文化も作っていくこと」zenmono通信(1/3 ページ)

モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、千葉工業大学 デザイン科学科の山崎和彦教授にお話を伺った。

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本記事はモノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から転載しています。


enmono三木氏 本日は、千葉工業大学 デザイン科学科の山崎和彦教授の研究室、「Smile Experience Design Lab.」にお邪魔しています。初めてお会いしたのは、大田区の町工場でしたよね。その時は「町工場とデザイン」ということで町工場をご覧になられていましたが、先生の研究室では「Smile Experience」という考え方で、さまざまな企業と一緒にプロジェクトをされています。

山崎氏 例えば「自社製品を作ろう」とか「工場をカッコよくしよう」、「カタログやWebサイトを改善しよう」といったことでデザインが役に立つのではと思っています。デザイン的なセンスは皆、持っているのです。小学校で工作をするのもデザインです。そのようなデザイン的なことをやっていたセンスを活用してもらおうというのが、私の考え方です。学生たちは大学の中での学びだけでなく、実践からも学びます。社会の人たちから教えてもらうような感じです。「Smile Experience」は使う人だけでなく作り手も含めて、皆が良い体験ができるということなのです。

enmono三木氏 どのようなプロジェクトがありますか?

山崎氏 産業廃棄物処理の会社さんとは、カフェスペースを企画してカフェに関わる物をデザインしました。農業ITを扱う会社さんの場合は、企業のイメージづくりをしました。研究室の活動内容はWebサイトでも公開しています。産学で企画した商品は、東京デザイナーズウィークやミラノサローネ(ミラノサローネ国際家具見本市)に出展して売ります。ミラノサローネは4年前から、学生と一緒に毎年出ています。ミラノはデザインの本場です。そのような所で英語でコミュニケーションし、グローバルな目で見てきてもらいたいのです。

enmono三木氏 私も山崎先生の本を購入して勉強させていただきました。テクノロジーの方まで踏み込んで書かれていますね。 

山崎氏 「PRODUCT DESIGN」は、デザイナーのための本ではありません。「商品開発に関わる全ての人へ」と書いてあるように、モノづくりに関わる人の教科書です。売れる商品はデザインで決まります。ビジネスに関わる人は、プロダクトデザイン的な考え方を知っていてほしいのです。デザイン的な考え方を皆が持つことで、売れる商品に変わるということなんです。

enmono三木氏 「EXPERIENCE VISION」は、ビジネスにデザインを生かしたい人に読んでもらいたい本だそうですね。

山崎氏 今、多くの方が、どういう商品やビジネスが良いのか悩んでいますよね。視点を変えると、新しい商品やサービスの提案ができます。これまでの日本のモノづくりは、海外に原形があり、その改善を一生懸命やってきました。そうして良い製品を作ってきたわけなんですけれども、「そろそろ自分たちのビジョンで、これまでにない商品やサービスを作っていきましょう」、「ビジョンを作る時にEXPERIENCE、体験というのを考えていきましょう」ということを言いたかったのです。

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