新型「シボレー・ボルト」は軽量化で走行距離を伸ばす、デトロイトショーで披露:電気自動車
General Motors(GM)が2015年下期の発売を予定しているプラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt(シボレー・ボルト)」は、EV走行距離を伸ばすために、リチウムイオン電池パックの容量増加ではなく、軽量化を重視した。
General Motors(GM)は2014年10月28日(米国時間)、2015年下期の発売を予定しているプラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt(シボレー・ボルト)」を、「北米国際自動車ショー2015」(2015年1月12〜25日、米国ミシガン州デトロイト)で公開すると発表した。
新型シボレー・ボルトは、電動駆動システム「VOLTEC」に大幅な改良を施し、リチウムイオン電池パックに蓄積した電力だけを使って走行する距離(EV走行距離)を伸ばすことに成功した。伸びたEV走行距離の詳細については、北米国際自動車ショー2015で発表するとしている。なお、現行のシボレー・ボルトのEV走行距離は38マイル(約61.1km)である。
電池パックで14kg、駆動ユニットで45kg軽量化
ここで重要なのが、VOLTECの新システムは、リチウムイオン電池パックを小型/軽量化していることだ。リチウムイオン電池セルのサプライヤであるLG Chemとの共同開発により、電池セル1個当たりの容量を従来比で20%向上した。その一方で、電池パックを構成する電池セルの個数は288個から192個に削減している。これによって、T字型の電池パックの重量は13kg軽くなるとともに、薄型になって車両の重心を下げる効果ももたらした。
リチウムイオン電池パックと同様に、2個のモーターとインバータから構成される駆動ユニットも従来比で45kg軽量化した。効率も5〜12%向上しているという。インバータの一体化が、この軽量化と効率向上に貢献している。
シボレー・ボルトは高速走行時にモーター2個とも使うが、VOLTECの新システムの場合、従来比で20%以上高い加速が得られる。またモーターはレアアースの使用量をできるだけ減らしており、2個のモーターの内1個はレアアースを使用しないタイプとなっている。
新型シボレー・ボルトの効率向上にエンジンも貢献している。現行モデルは排気量1.4l(リットル)のガソリンエンジンを採用しているが、新モデルは排気量が1.5lの4気筒直噴ガソリンエンジンに変更される。圧縮比が12.5と高く、クールドEGR(排気再循環)システムを採用するなど、燃費に有利なアトキンソンサイクル化が進められている。
初期生産時の新型シボレー・ボルトは、北米で生産された部品を約70%使用することになる。これは、現行モデルと比べて20%分多い。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- GMが新型「シボレー・ボルト」を開発中、2015年1月にデトロイトで公開
General Motors(GM)は、プラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt(シボレー・ボルト)」の新モデルを2015年1月開催の「北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)2015」で披露する。 - 電気自動車「ボルト」、電池管理の秘密
電気自動車の性能や信頼性を左右する要因の1つが、「電池」と「電池管理システム」だ。今回のシボレー・ボルトの解剖では、電池自体よりも、電池管理システムに焦点を当て、安全で信頼性の高い電気自動車を実現するためにどのような取り組みが必要なのかを調べた。 - 電気自動車「シボレー・ボルト」を解剖、電力システムの秘密に迫る
General Motorsのプラグインハイブリッド車「Chevrolet Volt(シボレー・ボルト)」を3日間かけて解剖し、その特徴である電力システムを分析した。その心臓部は288セルのLG Chem製リチウムイオン二次電池パック、頭脳はインバータモジュールに収められた日立製の制御ボードである。