一人設計屋さんと小ロット金型屋さんがKickstarterのプロジェクトを製品化する:zenmono通信(2/3 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、ミヨシ 代表取締役社長 杉山耕治さん、機楽 代表取締役 石渡昌太さんにお話を伺った。
石渡氏 小ロットの場合は国内の工場にお願いするのですが、RAPIROは3000個を予定していて、海外と国内どちらにするか考えました。こういったものを製造しているのは玩具の工場です。けたが何万個と出るような玩具をやっているところに「3000個作りたいんですけれども」とお願いするのは無理な話なので、作った経験がない工場に初めての挑戦をしていただくことになります。パーツ数も多く合わせが必要だし、コミュニケーションの問題と職人気質の問題で、「日本じゃないと無理だな」と。
杉山氏 いつもは電子部品などの開発品が多く、初めての挑戦でした。
enmono三木氏 国内の工場の中でも、ミヨシさんにお願いされた理由はありますか?
石渡氏 他の会社さんに、「その数量だと金額的にミヨシさんの方がいいよ」と教えていただきました。見積ではなく相談程度ですが、私が考えている予算感で可能なものなのかというところの確認は、何社かさせていただいたのです。
杉山氏 石渡さんとはデザインフェスタの打ち上げでお会いしたことがあって、その時は名刺交換だけでしたよね。2012年の12月にRAPIROのお話があり、2013年の頭にデータを見せてもらいました。
enmono三木氏 その時、このようなモデリングが出来ていたのでしょうか?
杉山氏 そうです。でも、これとは全然違います。
石渡氏 見た目で2パターン作って、どちらが良いかヒアリングしました。
enmono三木氏 RAPIROの企画を聞いた時、どう感じましたか?
杉山氏 「これはいける」と思いました。細かい部分のアドバイスだけで製造できるくらい、筐体設計の完成度が高かったです。玩具ではない、「プログラミングなどの学習ができる」というコンセプトも面白いと思いました。ただ、クラウドファンディングに掲載したことで製造にどれくらいの期間がかかるか、スピード感がどこまで保てるかという不安はありました。
石渡氏 量産に当たって設計を変更しなければならないのに、プロモーションや他の仕事もあったりして修正が遅れたり、RAPIROとは別の仕事も試作量産をミヨシさんにお願いしてしまいました。ミヨシさんでなければこの企画は実現しなかったです。
enmono三木氏 クラウドファンディングで、どれくらい資金調達できました? Kickstarterのハードウェアカテゴリーの中では、日本から出して初めて成功した事例だそうですね。
石渡氏 Kickstarterは当時の為替で約1150万円、Makuakeは569万円です。
enmono三木氏 杉山さんは何がきっかけで、メイカーズのような人たちとモノづくりをするようになったのですか?
杉山氏 以前から年に数回、個人で開発をしている方から「こういうモノを作りたい」とホームページから問い合わせがあるのですが、アイデアはすごく良いのです。「もしかすると、世の中に出て活躍できるのでは」と思えるものは、私たちの技術で協力できることがあれば一押ししたいと感じました。「Resiina(レジーナ)」の場合は、デザイナーズ集団のブランチさんと渋谷のヒカリエで展示した際、私が持っていたサンプルを「もう少し良い形にしないか」となって。企画や販売はBRANCH(ブランチ)さんにやっていただきました。
enmono三木氏 板チョコレートの形ですね。RとCの2種類ありますが。
杉山氏 Rは角R、CはC面の大きさを比較したサンプルです。デザイナーやエンジニアを目指す学生さんにも気軽に使っていただけるような商品です。受注生産ではないモノづくりは、これが初めてでした。
enmono三木氏 こちらの基板も、かなり売れていると聞いています。
杉山氏 キビテクさんのビスケットボードという商品です。
石渡氏 既存のブレッドボードは片側しか使えません。この商品は穴が貫通していて、両面から部品を挿すことができるのがよいですね。
杉山氏 隅にはレゴブロックに取り付けられる穴があります。ピンも多いですし細かくて、これもお話があった時に「大変そうだな」と思いました。
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