燃料電池車に補充する水素は重さで計量、タツノが70MPa対応水素充てん機を披露:CEATEC 2014
「CEATEC JAPAN 2014」のトヨタ自動車ブースでは、2014年度内に発売するセダンタイプの燃料電池車とともに、水素を補充するのに用いる水素充てん機も展示されていた。
「CEATEC JAPAN 2014」(シーテック ジャパン/2014年10月7〜11日、幕張メッセ)で2014年度内の発売を予定しているセダンタイプの燃料電池車を公開したトヨタ自動車(関連記事:トヨタが2014年度内に発売する燃料電池車、乗車定員はなぜ4人なのか)。同社ブースでは、燃料電池車に水素を補充するのに用いる水素充てん機も展示されていた。
水素充てん機は、水素ステーション内に貯蔵してある高圧の水素ガスを、燃料電池車の水素タンクに送り込む装置である。ガソリンスタンドで言えば、ガソリンの計量機に当たる。トヨタ自動車ブースに展示された水素充てん機を開発したのは、ガソリン計量機大手のタツノである。
タツノの水素充てん機は、トヨタ自動車の燃料電池車が搭載する70MPaの高圧水素タンクに対応している。いきなり70MPaの高圧で水素を補充すると水素タンクにダメージを与えてしまうので、水素タンク内の圧力に合わせて水素補充を行う圧力制御機構が搭載されている。
また水素充てん機に不可欠なのが水素を計量する機能だ。ガソリン計量機では、液体であるガソリンの容積を使って計量する。これに対して、燃料電池車で使う水素ガスは気体なので容積で計量するのは難しい。このため、重量を使って計量を行っている。タツノの水素充てん機には、1分当たりに流れる水素ガスの重量を示す「kg/min」と、補充したトータルの水素ガス重量を示す「kg」、水素ガスの温度を示す「℃」という3つの表示がある。kg/minとkgの表示は小数点3桁まであるが、「実際の運用では、小数点2桁、つまり10g単位で計量することになると思う」(説明員)という。
なお、燃料電池車への水素補充時間は、3分間で5kgとなっている。一般的な燃料電池車は、水素ガスを5kg使って500km以上走行できるとされている。
現在、タツノの水素充てん機は、ガソリンスタンド「Dr. Drive海老名中央店」(神奈川県海老名市)に設置されている水素ステーションに用いられている。今後は、水素ステーション需要に対応するためにコスト削減を進める考えだ。
関連記事
- 燃料電池車の本格普及にはSiCインバータが必要だ
CO2を排出しない次世代環境対応車としてだけでなく、今後の発展が期待される水素エネルギー社会のけん引役としても期待されている燃料電池車。日産自動車は、その燃料電池車の市場投入を表明している自動車メーカーの1つである。そこで、同社で燃料電池車の研究開発を担当する飯山明裕氏に、燃料電池車の本格普及に向けた課題などについて聞いた。 - トヨタが2014年度内に発売する燃料電池車、乗車定員はなぜ4人なのか
トヨタ自動車が2014年度内の量産販売を予定しているセダンタイプの燃料電池車は乗車定員が4人だ。一般的なセダン車の5人よりも乗車定員が少ないのはなぜか。 - トヨタが燃料電池車の価格を700万円に低減、ハイブリッド車と部品を共用
トヨタ自動車はセダンタイプの燃料電池車の量産モデルを公開。日本では2014年度内(2015年3月末まで)に発売し、価格は700万円程度を予定している。燃料電池車固有の部品を除き、ハイブリッド車との部品共用でコスト削減につなげたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.