オムロンが「卓球ロボット」で訴えたかったもの:CEATEC 2014(2/2 ページ)
「CEATEC JAPAN 2014」で大きな注目を集めているオムロンの「卓球ロボット」。ロボットそのものを製造しているわけではないオムロンが、なぜ卓球ロボットを出展したのだろうか。卓球ロボットが製造技術にもたらす価値について考察する。
卓球になぜパラレルリンクロボットを採用したのか
「制振制御デモ」と「二重倒立振子デモ」を通じて、「ラリー継続卓球ロボット」を考えてみると、やはりラリー継続卓球ロボットでの最大のポイントは「制御技術」ということになるだろう。
あらためてラリー継続卓球ロボットの仕組みを見てみよう。卓球でラリーを続けるためには、向かってくるボールがどこに飛んでくるのか、また相手はどこにいるのかという認識と、その情報を基に自分のラケットをコントロールすることが必要になる(関連記事:オムロンの「ラリー継続卓球ロボット」は相手を気づかいながらラケットを振るう)。
この「認識」には、ステレオカメラと人感センサーを利用。ボールの三次元測位と速度計測、相手とラケットの位置を検出する。さらに、得られた情報を基にボールの軌道と速度を予測。その予測情報を使って打ち返すために最適なラケットの軌道を計算し、それに最適な形でパラレルリンクロボットのアームとハンド部をコントロールするという流れだ。
ここでポイントとなるのは、ラリー継続卓球ロボットで使った人感センサー、ステレオカメラ、パラレルリンクロボットなどの主要構成機器ほぼ全てが汎用品であるということだ。特にアーム部に多軸ロボットでなくパラレルリンクロボットを採用したことが象徴的だ。パラレルリンクロボットは技術として成熟していることに加え、特許切れによって多くの企業が参入して一般化が進み、手ごろな価格で入手できるようになっている。
赤く表示した「+Think」
これらの一般的な機器を使ってなぜ卓球でラリーを続けるというような高度な動作が可能になったのか。
オムロンでは、ラリー継続卓球ロボットの出展テーマを「センシング&コントロール + Think」としており「人の動きや意図を把握し、状況に合わせて人を支援するロボットの実現を目指す」としている。そのカギを握るのが実はロボットそのものではなく、制御技術やセンシング技術、またこれらを読み解くアルゴリズムの部分にある。つまり人間で「脳」に当たる部分の進化だ。オムロンはその「脳」の部分でさまざまな基幹技術を持っている。それこそがラリー継続卓球ロボットを通じて、オムロンが訴えたかった点ではないだろうか。
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