検索
連載

革新的な製品を作り続ける――パナソニック出身者が立ち上げた家電ベンチャーの新戦略モノづくり×ベンチャー インタビュー(1)(4/4 ページ)

家電やロボット、自動車などさまざまなモノづくりの分野でベンチャー企業が躍進している。2007年創業のCerevo(セレボ)もその1つだ。インターネットと連動するさまざまな家電の開発によって注目を集める同社社長の岩佐琢磨氏にインタビューした。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

時代のスピードに対応できるか

MONOist 日本の製造業の今後をどうお考えになっていますか?

岩佐氏 やはり全体的には厳しいと思います。力はあるのだけれど、それを生かせていないなという気がしています。ここ2、3年が正念場だろうなと。後数年踏ん張れたら、また勝てるようになるのではないかと思っています。

 大企業の最終製品って、このままだと薄利多売の商売で行くしかないですよね。ひたすらコスト競争を行い、研究開発費を抑えていくみたいなことになる。そういった大企業の体制ではイノベーティブな製品を生み出すことは難しい。それならもう最終製品にこだわらず、コンポーネントとかモジュールを売っていくしかない。北米の大企業はそれをやってうまく回り始めているなと思っています。

 後はどんどん投資をして他の企業を巻き込んでいくという方法が主流になってくるのではないかなと考えています。日本でも特にIT業界では、そういうことをやっていますよね。2014年3月にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を開発している米国のOculus RiftがFacebookに約2000億円で買収されました。Facebookに所属しているエンジニアが本気を出せばHMDは開発できるかもしれない。でもFacebookは、HMDを開発せずに企業ごと買ってしまうんですよ。

 日本の企業の場合、買収せずにそこから2年かけて自社で開発する。その結果、他の製品より少し性能が高いけど売れないものができてしまう。最近は時代の動きが早いので、もしかすると数年後には誰もOculus Riftに注目していない可能性だってある。そういった早い時代の流れに対応できないと厳しいですよね。

IoTは当たり前

MONOist IoTというトレンドについてどう思われますか?

 IoTって、割と当たり前のトレンドだなと思います。3Dプリンタみたいな感じというか、前からそういった業界にいる人にとっては特に新鮮ではないという。でも、IoTという言葉とともに市場が盛り上がると、SIMカードなどの関連部品の価格が下がるので、製品が開発しやすくなるなという感覚はあります。

 製品を開発しやすくなるということは、それだけ参入するプレーヤーの数も増えるということでもあります。でも、「OTTO」のようなインテリアにもなる電源タップを作ろうと考える企業なんてCerevoくらいだろうと思いますね。あと、IoTがトレンドとして扱われることで、自分たちの製品がメディアに取り上げられやすくなったり、家電量販店に「スマート家電コーナー」が増えると、作る側からすると売りやすくなるなと感じています。だから、基本的にIoTの波というのは歓迎ですし、Cerevoはそれを下から一緒に盛り上げていきたいなと思っています。

Cerevoが現在開発中の電源タップ「OTTO」。8個口のAC100ボルト電源の差込口を内蔵できる。専用のアプリケーションを通して、接続した照明器具の調光操作や、タイマー機能の設定も可能(クリックで拡大)出典:Cerevo

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る