ソフトウェア単体から実車まで、テストって本当に大変:モデルベース開発奮戦ちう(6)(3/5 ページ)
京子たち三立精機の制御設計チームは、モデルベース開発を活用して、ついに変速機「CVT∞」の制御ソフトウェアを完成させた。しかし、この制御ソフトウェアがきちんと動くことを確認するためにはテストを行う必要がある。ソフトウェア単体から実車を使ったものまで、さまざまなテストが待ち受けているのだ。
仮適合って?
というわけで統合テストも完了。ここからは各種制御定数の適合が必要になる。そこで私は、今後の進め方について大島さんに相談することにした。
大島さん、統合テストが完了したので、次は、実機検証ですか? HILSで実機に近い検証ができたから一発確認で終わるかもしれませんね?
検証と併せて制御定数などの適合も必要だよ。実際は、実機で適合しなければならないんだが、HILSを使えば仮適合しておくこともできる。仮適合によって、実機での適合時間と費用を削減できれば大きな効果が上げられる。さらに、実機では危険な試験も、シミュレーションで対応すればはるかに安全だ。
仮適合でも実車適合仕様に基づいて実施すれば良いのですね?
その通り。ところでセットアップは大丈夫?
HILSで検証してきた環境がそのまま使えますね。HILSに接続したECU内部パラメータは、既に適合ツールを使って計測できているので問題なさそうです。
けれども、適合仕様に合わせてHILSのプラントモデルを改造する必要もあるかもしれない。十分確認して実施してくれよ。ただし、検証に使ったオリジナルのプラントモデルは、改造しないように注意すること。
私は、HILSで実機検証をイメージした仮適合を実施し、その結果を大島さんに報告した。
仮ですが、おおよそ実施してみました。結果レビューをお願いします。
こんなもんだろう。
仮適合も実施しECUがまとまったので、次は社内の実験チームに実機検証をお願いすればいいんですか?
そうだね。ただし、顧客の豊産自動車も適合検証を実施する。共同で実施した方が効率的な場合もあるので、顧客の立ち会いも含めて日程を調整して計画してある。今回、予定通り円滑にまとまって日程の再調整が不要なので、先方と日程確認するだけで済みそうだ。俺の方で確認しておくよ。
モデルベース開発といっても、実機検証は従来通り実施しないといけないんですよね。
当然だよ。以前に、ちょっとエンジンをかけて走ってみればすぐ分かるみたいな不具合が顧客の現場で発生したりして迷惑を掛けたことがある。まずサプライヤで実機検証しておかないと、顧客に渡してはいけないというのは当たり前のことだよ。
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