NTN、高周波焼入れ装置用「高性能磁性コア」を開発し、外販開始:FAニュース
鉄粉の表面に熱硬化性樹脂をコーティングし、圧縮成形することで、従来の市販品と比べて磁気特性の指標である飽和磁束密度が10%、比透磁率が30%向上し、鉄損も15%低減した。圧環強度も市販品の5倍となっている。
NTNは2014年8月26日、高周波焼入れ装置用「高性能磁性コア」を開発したと発表した。鉄粉の表面に熱硬化性樹脂をコーティングし、圧縮成形することで、業界最高クラスの磁気特性と強度を持つ。既に同社内の装置に採用されているが、新たに高周波焼入れ装置メーカーや高周波熱処理加工会社への販売を開始した。
軸受・ギヤなどの機械部品は、強度向上のために熱処理が施されている。中でも、自動車などの駆動装置関連の部品は、複雑な形状が多い上に、特定部位に強度が必要となるため、熱処理では高周波誘導加熱(高周波焼入れ)によって必要な部位のみ焼入れがされる。しかし、熱処理時間の短縮や焼入れ精度向上のため、高周波焼入れ装置の加熱コイル部に取り付けられる「コア」という磁性材は、材料強度が弱く、加工工数やマテリアルロスの多さが問題となっていたという。
今回開発された高性能磁性コアは、粉末冶金用の鉄粉を磁性粉末として用い、独自の配合で熱硬化性樹脂を添加、造粒処理することで鉄粉表面に絶縁被膜を施したもの。また、特殊な圧縮成形と加熱硬化により、被膜の破壊を抑えた。これにより、粉末同士の接触を低減することができ、従来の市販品と比べて磁気特性の指標である飽和磁束密度が10%、比透磁率が30%向上し、鉄損は15%低減した。また、圧環強度も従来の市販品の5倍となり、コアの切削加工や取り扱いが向上した。
主に、ドライブシャフト、クランクシャフト、ギヤ等機械部品用高周波焼入れコイル向けで、同製品を採用することで、高周波焼入れの効率が向上し、より高精度な焼入れが可能になる。そのため、熱処理時間が短縮でき、加工部品の強度や硬度も高められるという。
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