東芝キヤリア、熱エネルギー量が少ない現場で使える熱回収ヒートポンプ製品拡充:FAニュース
「低温熱」や「小・中規模」の熱源しかない現場や工程のための「熱回収CAONS」新モデルと、同一の水配管接続口から出口温度25〜55℃の「温水取出し」と5〜25℃の「冷水取出し」が可能な「熱回収SFMC」の2機種となっている。
東芝キヤリアは熱回収ヒートポンプ商品のラインアップを拡充する。高温熱用途には「熱回収CAONS(カオンズ)」の新モデルを、冷暖房用途には「熱回収SFMC(エスエフエムシー)」を、2014年10月から順次発売する。
近年、排熱エネルギーを再生利用する動きが広まり、ごみ焼却場や工場から出る「中・高温熱」の排ガス、蒸気、中・高温水が、空調や給湯に利用される事例が増えている。その一方で、工場での冷房や生産工程の冷却の際に出る40℃以下の「低温熱」の排熱は、多くが使われずに捨てられているという。
そこで同社は、中部電力との共同研究で、回収可能な熱エネルギー量が少なく、回収困難な「低温熱」や「小・中規模」の熱源しかない現場・工程のため、「熱回収CAONS」の新モデルを開発した。新モデルでは、運転可能な熱源水の入口温度の範囲を13〜40℃に拡大しながら、加温工程(50〜85℃程度)や浴槽保温などに利用できる「中・高温熱」の供給も可能としている。そのため、冷却・加熱の工程がある工場向けとなっている。
同製品は、条件によっては省エネルギー性の高さを示す総合COPが5.7となる。従来のシステムと比べて最大約50%のエネルギーコスト削減ができる。モジュール1台の加熱能力は60kW。想定される負荷に応じて1〜128台のユニットを組み合わせ、システムを構築できる。
また同社は、簡単な操作で冷媒回路を切り替え、同一の水配管接続口から、出口温度25〜55℃の「温水取り出し」と、5〜25℃の「冷水取り出し」が可能な「熱回収SFMC」も合わせて発売する。地中熱、地下水、下水処理水などからの熱エネルギーを効率よく回収し活用することができるもので、水熱源方式のため、暖房時の除霜制御が不要で安定した運転ができる。寒冷地も含め、宿泊施設、病院、学校など建物を問わず、一般的な空調システムなどに幅広く用いることが可能だ。
モジュール1台の加熱能力は98kW/116kW。現地での多数の電磁弁設置と複雑な水配管施工が大幅に軽減されたため、施工コストも削減できる。
FAメルマガ 登録募集中!
MONOist FAフォーラムのメールマガジンの配信を2014年7月よりスタートしました。FAニュースをはじめ、産業用ロボット、インダストリー4.0、PLCや産業用ネットワーク、制御システムセキュリティなど注目の話題をまとめてお届けしています。
ぜひ、メルマガ配信のご登録をお願い致します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「地中熱」で工場のコストは削減できる――富士通・長野工場の取り組み
富士通・長野工場が自然エネルギー活用システムの運用を開始した。小規模運用が多かった地中熱採熱システムを大規模な工場敷地内で導入し、コスト削減とCO2削減を狙う。 - 2020年までに国内で最も伸びるエネルギー源は?
今後成長が期待できる再生可能エネルギーについて、2012年度と2020年度の国内市場規模を富士経済が予測した。従来の家庭用太陽光発電システム一辺倒から、産業用へと成長分野が移り変わっていくという。 - ビクトリア女王が好んだワイト島、英国最大の島が100%再生エネ化へ
再生可能エネルギーの利用ではドイツやスペインなどが注目を集める。英国はモデル地域を指定し、一気に再生可能エネルギーの100%利用を目指す。舞台は英国最大の島ワイト島だ。東芝やIBMが技術を提供する。