パナソニックのHDカメラを車載イーサネットで接続、ルネサスがデモを披露:車載半導体
ルネサス エレクトロニクスは、プライベート展「Renesas DevCon Japan 2014」において、パナソニック製のHDカメラモジュールの映像データを車載イーサネットで伝送するデモンストレーションを披露した。
ルネサス エレクトロニクスは、東京都内で開催したプライベート展「Renesas DevCon Japan 2014」(2014年9月2日)において、パナソニック製のHDカメラモジュールの映像データを車載イーサネットで伝送するデモンストレーションを披露した。
このデモでは、パナソニックのHDカメラモジュールから出力される、1280×720画素/30fpsのH.264方式の映像データを、車載イーサネットであるEthernet AVBに対応するスイッチングハブを介して、カーナビゲーションシステムをイメージした「R-Car H2」の評価ボードに伝送しディスプレイに表示する。
これと併せて、「R-Car H2」の評価ボードから出力した6チャンネルの音楽データを、Ethernet AVBに対応するスイッチングハブを介して、カーオーディオアンプをイメージした「RZ/A1M」の評価ボードに送り、音楽データを再生するデモも行った。この音楽データの再生操作を行うユーザーインタフェースの制御には別のRZ/A1Mの評価ボードを用いているが、その制御信号もEthernet AVBで伝送している。
Ethernet AVBのデモの様子。左から、カーナビゲーションシステムをイメージした「R-Car H2」の評価ボード、カメラの映像データを表示するディスプレイ、パナソニックのHDカメラモジュール、Ethernet AVB対応スイッチングハブ、音楽再生ユーザーインタフェースの「RZ/A1M」の評価ボードと操作用タッチパネル、カーオーディオアンプをイメージしたRZ/A1Mの評価ボード(クリックで拡大)
スイッチングハブと各モジュール/評価ボードの間の帯域幅は、HDカメラモジュールが30Mbps、R-Car H2の評価ボードが34Mbps、カーオーディオアンプのRZ/A1Mの評価ボードが4Mbps、音楽再生ユーザーインタフェースのRZ/A1Mの評価ボードが400kbpsである。
次世代のサラウンドビューでは、現行のサラウンドビューで用いているVGAサイズ(640×480画素)のアナログカメラに替わってHDカメラが採用される見通し。しかし、より高精細なHDカメラを使うのであれば、映像データの伝送で遅延が発生しないような通信技術が必要になる。Ethernet AVBの帯域幅は、車両内で用いる場合で最大100Mbpsが可能である。ルネサスが2014年8月に発表した次世代サラウンドビュー向けSoC(System on Chip)「R-Car V2H」は、このEthernet AVBに対応できる通信インタフェースを搭載している(関連記事:ルネサスが次世代サラウンドビュー向けSoCを開発、全方位をリアルタイムで認識)。
今回のデモは、Ethernet AVBの導入に向けた開発に必要なソリューションをルネサスから提供できることをアピールする狙いがある。
関連記事
- Linuxとイーサネットが鍵を握る車載情報機器の進化
2013年5月28〜29日に東京都内で開催された、「Automotive Linux Summit Spring 2013」(主催:The Linux Foundation)。同イベントでは、車載情報機器への採用が広がりつつあるLinuxや、それと関連する開発プロジェクトの最新情報が紹介された。本稿では、ジャガーランドローバーとルネサス エレクトロニクスによる2日目の基調講演をリポートしよう。 - ルネサスが次世代サラウンドビュー向けSoCを開発、全方位をリアルタイムで認識
ルネサス エレクトロニクスは、次世代サラウンドビュー向けSoC(System on Chip)「R-Car V2H」を開発した。同社の車載情報機器向けSoC「R-Carファミリ」の技術を応用し、先進運転支援システム(ADAS)向けに展開する製品群の第1弾となる。 - イーサネットが引き起こす車載LAN規格の地殻変動
自動車の電子制御ユニット(ECU)間をつなぐのに用いられている車載LAN規格に地殻変動が起こっている。その震源となっているのが、BMWやトヨタ自動車が進めている、イーサネットを車載用途で利用するための取り組みである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.