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土壌湿度センサーとScratchで、植物を乾燥から守ろう!Scratch 2.0で体験! お手軽フィジカルコンピューティング(8)(1/3 ページ)

Webブラウザだけでプログラム開発から実行まで行える「Scratch 2.0」を用い、センサーの接続や外部デバイスのコントロールに挑戦! 今回は土壌湿度センサーを自作し、抵抗値の変化を音量の大きさに変える仕組みを勉強します。

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 本連載は、Webブラウザ上でプログラム開発から実行までを行える「Scratch 2.0(以下、Scratch)」を用いた“フィジカルコンピューティング”入門です。電子回路があまり得意でない人でも取り組みやすい、センサーや外部デバイスと接続した作例を紹介しています。

 前回の記事(Scratch 2.0で体験! お手軽フィジカルコンピューティング(7):光センサーを自作して、Scratch 2.0で光の変化を捉えよう! )では電圧が変化するセンサーを用いて、それを「音量」に変換しScratchで値を観測する方法を紹介しました。

 今回は抵抗値が変化するセンサーを用います。前回作製した電圧を音量に変換する回路を改造して土壌湿度センサーを制作し、抵抗値の変化を音量の大きさに変える仕組みを勉強します。

抵抗系センサー

 まずは代表的な抵抗系センサーをいくつか紹介します。

  • 抵抗系光センサー
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抵抗系光センサー(出典:wikipedia)

 抵抗系光センサーは最近、一般的にフォトレジスタ(photoresistor)と呼ばれていますが、そのほとんどに硫化カドミウムがもちいられていたのでその化学式のままCdSとも呼ばれていました。光の強度が増加すると電気抵抗が低下する性質を持っています。

 光センサーは前回の記事で紹介したLEDのようにPN接合の半導体が用いられることが多くなりましたが、CdSはそれらと比較して以下の特徴をもっています。

  • 赤外線から紫外線まで広い周波数帯に反応する
  • 単純な抵抗値の変化なので周波数による特性変化がない
  • 極性がない
  • 耐電圧が比較的高い

 また、逆にCdsのデメリットとしては半導体光センサーに比較して反応速度が遅いので、光通信の素子としては不適格である、また、カドミウムは欧州連合(EU)の規制対象元素であるため、EU内での電気電子部品に使用することができなくなったことなどが挙げられます。今後、光センサーは徐々にCdSから半導体への移行が進むものと思われます。

  • 抵抗系温度センサー
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NTCサーミスタ(出典:wikipedia)

 温度を測るセンサーにはいろいろな方式があります。熱伝対型、ダイオード型、サーミスタなどです。ここでは抵抗系温度センサーの代表であるサーミスタについて紹介します。

 サーミスタは温度の変化に応じて抵抗値が変わる素子です。温度の変化に対する抵抗値の変化の違いにより、大きく分けて2種類のサーミスタが存在します。1つはNTCサーミスタ、もう1つはPTCサーミスタです。

 NTCサーミスタは温度が上がると抵抗が下がるサーミスタで、最も一般的なサーミスタです。重金属の酸化物を混ぜ合わせ焼き固められて作られます。温度に対して一般の抵抗と逆に抵抗値が変化するので、昔は6石スーパーラジオの低周波電力増幅回路の温度保障に使われているのをよく見かけました。

 一方のPTCサーミスタは温度が上昇すると抵抗値が大きくなるサーミスタです。温度センサー以外にも、回路保護素子としても使われるようです。

 温度変化による抵抗値の変化以外にサーミスタの素材による分類もあります。セラミックや高分子ポリマーを素材としたサーミスタもあります。

  • 回転角度センサー
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回転角度センサー(出典:秋月電子通商)

 回転角度センサーにはロータリーエンコーダーなどの360度回転する機構でパルスにより回転数を検出するタイプの物もありますが、今回は抵抗値で角度を検出するタイプのセンサーについて説明します。

 写真は抵抗値を出力する回転角度センサーの一例です。中央のノブを回すとその角度に応じて抵抗値が変化します。このタイプのほとんどが機構的に360度以上回転しません。ロータリーエンコーダーはパルスをカウントすることにより回転角や回転数を検出しますので、相対的な角度の変化しか捉えることができません。それに対して写真で示したタイプの回転角度センサーはノブの角度に対応する抵抗値が出てきます。逆に機構的に360度以上回転しませんので、それ以上の角度の変化は検出できません。

 ノブの回転に応じて輪状の抵抗上を接点が移動する構造になっており、移動する接点と輪状の一端の間の抵抗変化で、回転角度を検出する仕組みになっています。一般にポテンションメーターやボリュームと呼ばれているロータリー式の可変抵抗と同じ構造です。ただ回転により輪上の抵抗と接点との間で機械的な摩擦が生じるため、一般のポテンションメーターと比較すると寿命や精度を保障するため接点部分に配慮が施されています。

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