「瞬撮」でフィギュア作ってみる? ――3Dスキャナでは考えられない早さの秘密:3次元って、面白っ! 〜操さんの3次元CAD考〜(38)(2/3 ページ)
自分のフィギュアを作成できるサービス「瞬撮」。3Dスキャナを使って全身を3Dデータ化する一般的なサービスと何が違うのか? 筆者が身をもって体験してきた。立体になると見たくないものも客観的に見ることができる!?
約百台ものカメラが「瞬撮」――設備とスピード感に驚く
撮影の準備ができたということで、いざ覆いの中へ。中はかなり大きなフレーム構造になっていて、そこに360度全周にわたって、さらにそれぞれの角度で、かなり上の位置から下の位置にまで大量のカメラが配置されています。まあ、何というか一言でいうと大量のカメラが配置されていて、それら全てが筆者を狙っているたくさんの目のように思えてくるという感じでしょうか。
兼松さんに聞いたところ、全部で約百台のカメラが設置されているのだとか(残念ながら、正確な台数は申し上げられません)。
床面の中央に、立ち位置が描かれているので、そこに立ちます。撮影担当の諏訪さんから撮影準備OKが出て、兼松さんからは「何か決めポーズでも付けますか?」の声。もちろん、筆者にそんなポーズはないので、まあ適当に……。
ちなみに、眼鏡の着用は、縁がはっきりとしているものであればOKだそうですが、縁なしの眼鏡は結果がよろしくないそうです。ということで、今回筆者は眼鏡を外して撮影に臨みました。
撮影の直前、照明が完全に落ちて、何も見えないほど真っ暗な状態になります。そして、次の瞬間フラッシュが光り、一瞬で撮影が終了。「え、もう終わり?」。真っ暗になったことを除けば、普通の記念撮影とほとんど変わりません。
うーん、このスピード感。3Dスキャナとは全くの別物です。こんなふうに簡単に書いていますが、よく考えると、約百台ものカメラのシャッターが、同じタイミングで同調して切られているのですから、すごい話ですね。
ちなみに、兼松さんによるとジャンプしても大丈夫とのこと。確かにこれなら、小さな子どもやよく動き回るペットでも大丈夫そうです。
服の模様や髪の毛の再現性も高い
で、すぐに撮影ブースの後ろにあるPCで、画像処理を開始。その様子をぜひ見学したいとお願いしたところ、「お客さんには絶対見せないのですが……。水野さんならいいですよ!」(兼松さん)ということで、遠慮なく処理の様子を見させていただきました。
PCの前で立ち話をしている5分ほどの間に、見る見るうちに筆者がPCの画面の中で3Dになっていくではありませんか! この段階でのレンダリングの精細度は高いものではありませんでしたが、それにしても早い!!
何よりも驚いたのが、脇の下など影になっている部分もしっかりと再現されていることです。ノウハウに基づき、大量のカメラが微妙な位置と角度で配置されているのでしょう。3Dスキャナだと、かなり丁寧に撮影したつもりでも、実際データにしてみると穴だらけで、修正が必要なことは珍しくありません。しかし、今回の瞬撮では、ほとんどそのような後処理はいらないのでは!? という見事な出来栄えです。
普通に写真を撮っているので、当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが、来ている服の模様や服のシワなども驚くほどきれいに再現されています。色調も素人目にはバッチリで、実際には少々色白になるそうですが、それでもせいぜいガンマ値を調整するくらいだとか。そうそう、3Dスキャナでは苦手とされる髪の毛もきちんと再現されていました。ただし、瞬撮でも不得意なものもあります。兼松さんによれば「真っ白とか、真っ黒なものは避けた方がよい」そうです。
こちらも詳しくは言えませんが、データ処理に使用するPCは平たく言うと“すごいスペック”の「ウルトラマシン」(兼松さん談)です。以前使用していたマシンと比べると、最高解像度でのレンダリングで、処理時間が約3分の1程度に短縮できたとか。「納期を守る」という意味でもデータ処理に使うPCのスペックは重要ですね。
ちなみに、このサービスでの標準納期は2週間となっています。被写体の撮影からデータ処理までが安定して行えるので、「うちでは、きっかり2週間の納期を守っています」(兼松さん)と、実績は確かなようです。
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