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悪戦苦闘して作ったモデルって、何だか愛おしいモデルベース開発奮戦ちう(5)(1/5 ページ)

ついに、ハイブリッド車「バンビーナ」が燃費世界一を目指す上で重要な役割を果たす変速機「CVT∞」の制御設計を始めることになった、京子たち三立精機の制御設計チーム。悪戦苦闘しながらも、制御モデルの設計やECUへのソフトウェア組み込みなどの作業を着実に進めていく。

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前回のあらすじ

モデルベース開発奮戦ちう

 モデルベース開発に必要なツール購入も完了し、燃費世界一を目指すハイブリッド車「バンビーナ」に搭載する変速機「CVT∞」の設計がついに始まった。そこで重要になるのが、車両全体の設計を統括する自動車メーカーとの仕様のすり合わせ作業である……(前回の記事へ)。


「モデルベース開発奮戦ちう」の主な登場人物
「モデルベース開発奮戦ちう」の主な登場人物(クリックで拡大)

まずはMILSから

 いよいよ三立精機の制御設計チームが担当する、「バンビーナ」の「CVT∞」の制御設計を始めることになった。大島さんは以前、新しい制御を検討開発する先行開発グループに所属していた。先行開発グループでは、モデルベース開発を試行していたらしい。そこで私は、大島さんに先行開発グループでどのようなことをやっていたのか尋ねた。

大島

MILS(Model in the Loop Simulation)、HILS(Hardware in the Loop Simulation)は確かに実施したけど、ECUの実機はその場しのぎで仕上げていたように見えた。でも、俺は制御設計の担当じゃなかったから、その辺の詳細はよく知らないんだ。実際に先行開発グループに行って聞いてきてよ。


HILSやMILSに代表されるX in the Loop Simulationの概念図
HILSやMILSに代表されるX in the Loop Simulationの概念図(クリックで拡大) 出典:JMAAB

 私は先行開発グループまでひとっ走りして確認することにした。話を聞くと、実際のECUにMILSの結果を反映するのに工数も時間もかなりかかったという。モデルを作成してMILSを実施するまでは早かったが、組み込み用ソフトウェアの作成で手間を取られたらしい。

 ソフトウェアグループに組み込み用のソフトウェアを作成してもらうためには制御仕様書が必要となり、作成したSimulinkから一旦従来の制御仕様書を記述作成し、その後作成した制御仕様書を基にソフトウェアを作成するという手順を踏む必要があった。このため、実際のモデルと制御仕様書を一致させるのに時間がかかったのだそうだ。

大島

もっと早くやれないかと思って、自分たちでECUへの組み込みもやってみたよ。


 どういうふうに実装したかというと、モデルからソースプログラムを自動生成した後で、そのソースプログラムを改造し無理やり製品に組み込んで動作を確認したということだ。

京子

(よ〜し! 私たちもMILSからソースプログラムの生成、組み込みまでやってみよう。ますます前のめっちゃうな!)


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