「世界初」の卓上プラズマエッチング装置、ミクロンレベルの加工が可能:価格は320万円
茨城県に本拠を置く三友製作所は、「世界初」(同社)となる「卓上プラズマエッチング装置」の販売開始を発表。同社の独自技術であるマイクロプラズマ加工技術と吸引プラズマ技術を活用して、μm(ミクロン)レベルの局所的なプラズマ加工を可能にしたことに加え、装置の小型化と省電力化に成功した。
茨城県に本拠を置く三友製作所は2014年8月25日、「卓上プラズマエッチング装置」の販売開始を発表した。「卓上タイプのプラズマエッチング加工装置は世界初」(同社)だという。同社の独自技術であるマイクロプラズマ加工技術と吸引プラズマ技術を活用して、μmレベルの局所的なプラズマ加工を可能にしたことに加え、装置の小型化と省電力化に成功した。価格は320万円(税別)から。
従来のプラズマ加工装置は大型かつ、使用するために大量の電力を消費するため導入コストが高かった。三友製作所の開発した卓上プラズマエッチング加工装置の大きさは、幅250mm、奥行き250mm、高さ247mmの卓上サイズで、電波法の申請が不要な50W以下の電源で利用できる。重量は、真空ポンプと真空チャンバを合わせて17.5Kg。
従来のプラズマ加工では、対象物全体にプラズマを当てていた。しかし同製品は、同社が独自に開発したマイクロプラズマ加工技術を採用しており、細い石英ガラス管内にプラズマを発生させ、ガラス管の先端から出たプラズマを試料に当てて加工する。これにより、既存のプラズマ加工技術では不可能だったμmレベルの局所的なプラズマ加工が可能になったという。
また、真空容器内に導入されたエッチングガスをプラズマガンが入った石英ガラス管内に吸引してプラズマを発生させる、吸引プラズマ技術も用いられている。これにより、エッチングを行った際に試料上に発生するプラズマ生成物を吸い込むことができるため、従来のエッチングガスを噴射する方式に比べて残渣(ざんさ)を減らせるという。
同社はこの卓上プラズマエッチング装置を、デバイスの試作や開発の他、半導体の解析、デバイス組み立て時のクリーニングや接着剤の均等付着に活用できるとしている。
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