パナソニックがシンガポール初の屋内型植物工場稼働――食料自給率向上に貢献:製造マネジメントニュース
パナソニックファクトリーソリューションズ アジアパシフィックはシンガポールで初めての野菜工場を稼働したことを発表した。生産した野菜は、シンガポール国内で飲食店チェーン展開する大戸屋に提供するという。
パナソニックファクトリーソリューションズ アジアパシフィック(以下、PFSAP)は2014年7月31日、シンガポールで初めての野菜工場を稼働したことを明らかにした。
PFSAPでは同社の植物工場でミニ赤大根、サニーレタス、水菜の3種類の野菜を生産し、シンガポール国内で日本食レストランを展開する大戸屋に提供する。これらはシンガポール政府が初めて認定した屋内野菜工場となる。収穫された野菜は新鮮な状態で、工場から大戸屋3店舗に直送される。
現在、同社の植物工場では、グリーンレタス、サニーレタス、水菜、ミニ赤大根、ミニ白大根、ルッコラ、バジル、大葉、三つ葉、ベビーホウレンソウの10種類の野菜を栽培。248m2の屋内農業施設でLED照明設備を使用しながら、管理の行き届いた土壌で育成する。現段階で、年間の総生産量は3.6トン。現地の工場で生産することで、日本から同等品質の野菜を輸入する場合と比べて、大きなコスト削減を実現できるという。
シンガポールでは、野菜の自給率は8%にとどまっており、同国政府では野菜の自給率を高めることを推進している。現段階での野菜の生産量は、シンガポールの消費全体の0.015%を賄うにすぎないが、2017年3月末にはこの数値を5%まで引き上げ、30種類以上の農作物を育てることを目指しているという。
パナソニックでは既に、福島県にある福島工場で屋内型植物工場の運営を行っている。また、屋外型の農業プラント設備の展開などにも取り組んでおり、製造業のノウハウを生かした新たな農業創出に向けた展開を強化している(関連記事:パナソニックが農業へ! 新規事業「アグリ・エンジニアリング」に参入)。
エレクトロニクスとITは農業をどう変えるのか――「植物工場/スマートアグリ」コーナーへ
新たな農業の形とは?
植物工場、ハイテク施設園芸……。製造業のノウハウを活用し、農業が新しく生まれ変わろうとしている。新たな農業のカタチはどう変化していくのでしょうか。
「植物工場/スマートアグリ」特集では、エレクトロニクスやITを活用した新たな農業の最新情報をお伝えしています。併せてご覧ください。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- レタスを作る半導体工場!? 植物工場は製造業を救う切り札になるのか
「半導体生産からレタス生産へ」驚きの業態変化を遂げた工場がある。富士通セミコンダクターの会津若松工場だ。富士通では植物工場へのICT提供などを行ってきたが、ついに自ら野菜生産に乗り出し、2014年2月から低カリウムレタスの出荷を開始する。製造業およびICT企業としてのノウハウを野菜生産に注入する植物工場は、製造業が託すべき未来になるのか。現地取材を通してレポートする。 - パナソニックが農業へ! 新規事業「アグリ・エンジニアリング」に参入
パナソニック エコソリューションズ社は農産物の生産効率向上と生産者負担の軽減を図る「アグリ・エンジニアリング事業」に2014年度から参入することを発表した。局所環境制御を実現した「パッシブハウス型農業プラント」を開発し、パナソニックES集合住宅エンジニアリングを通じて販売を進めていく。 - 躍進する植物工場、2025年には1500億円市場に――製造業のノウハウ転用に期待
矢野経済研究所は植物工場運営市場における調査を行い、その調査結果を発表した。それによると植物工場市場は順調に成長し2025年には1500億円市場となるという。 - テーマサイト「植物工場/スマートアグリ」