未来のエンジニアを育成! MathWorksの学生向けワークショップに潜入:MATLABエンジニアの仕事体験デー(2/2 ページ)
The MathWorksの日本法人であるMathWorks Japanは、理工系の学生を対象とした未来のエンジニアの育成を目的とするワークショップ「MATLABエンジニアの仕事体験デー」を開催。学生たちが同社のモデルベース設計ツール「MATLAB/Simulink」を使用して、制御プログラムの設計・開発を行う様子を取材した。
PID制御を学んでコントローラを制御
今回のワークショップでは、コントローラの制御はPID制御で行う。PID制御のPは“Proportional”の略で偏差に対して比例する動作を、Iは“Integral”の略で偏差に対して時間積分(蓄積)する動作を示している。“Derivative”の略であるDは、偏差の時間微分(変化率)に対して反応する動作を意味する(関連記事:オンオフ制御の欠点を補う「PID制御」とは?)。
学生たちはPID制御についての講習を受けた後、2人1組でコントローラの出力式をモデル化してSimulinkでシミュレーションを行った。その結果を見ながら決定した、PIDの各パラメータの数値をコントローラに実装し、モーターの挙動を確認していく。講師の竹下氏が、学生たちに作業の途中で「今自分が開発プロセスのどの部分を行っているのか」を確認させている様子が印象的だった。
最後にチームごとに、各パラメータの数値を発表した。チームによってその値はさまざまだ。講師の竹下氏は学生たちに「どの値が正解ということはない。その製品が使われる状況によって実装する内容は常に変化するため、答えがいつも1つになることはない。この制御機器がどういった場所で使用されるのか、自分で実際に使ってみたい場面は、という視点で開発を行うことが重要」と語った。
ワークショップを終えた学生からは「研究に用いている車両モデルに適用しているPID制御の周波数特性の把握や、それを基にしたPID制御の見直しのために、今回のワークショップで学んだことを役立てたい」という声や、「シミュレーションと実機を動かすことの違いを感じられたので自分の研究に生かしたい」といった感想が寄せられた。
マスワークスは、今後もこうした学生向けのワークショップを開催していく予定だという。「このワークショップに参加して製品開発のプロセスを実際に体験してもらうことで、将来もモノづくりに携わっていきたいと考える学生が増えることを期待している」(同社)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 京子がクルマつくってるらしいよ(@_@;)
技術者であれば一度は聞いたことがあるかもしれない「モデルベース開発」という言葉。本連載では、主人公である電装部品メーカーの若手女性技術者・小野京子が、“燃費世界一”を目指すクルマの開発に関わる中で、モデルベース開発を一から学びつつ、技術者としても成長していく姿を描きます。京子の奮戦に乞うご期待! - いまさら聞けない モデルベース開発入門
あなたは人に「モデルベース開発」を正しく説明できるだろうか? プロセス改善手法の1つであるモデルベース開発の概念や特徴について解説 - 「エンタープライズ号も使っていた」――MATLABを生んだCleve Moler氏が講演
技術計算ソフトウェア「MATLAB」を生んだ開発者で、MathWorks会長兼チーフサイエンティストを務めるCleve Moler氏が来日。日本の3つの大学で講演を行った。同氏が語ったMATLABの起源と進化とは……