米iRobotの床拭きお掃除ロボ「ブラーバ」はどれだけ実用的か(動画あり):「ルンバ」に続くヒット商品となるか(4/4 ページ)
「ルンバ」シリーズを手掛ける米iRobotの新型ロボット、「ブラーバ380j」が上陸した。「床拭き」専用となる本製品を試用した感想を、動画を交えながらお伝えしたい。
ブラーバに適した使い方
ブラーバは非常に便利であるが、清掃性能について過度の期待は禁物だ。「全ての汚れを落としてピカピカにしてくれる」と思い込んでいると、初めて使ったときに「期待はずれ」という結論になりかねない。ブラーバの重量は2kgもない。人間が力を込めてゴシゴシしないと取れないような汚れは、当然ながらブラーバを1回動かしたくらいではキレイにできないのだ。
ブラーバの魅力は、面倒な拭き掃除を高頻度にやれるということだろう。人間が頑張って掃除したあとで、毎日ブラーバで拭き掃除をすれば、汚れが固着する前に取りやすく、キレイさを維持できる。どうしてもロボットでうまく掃除できない部分が出てくるが、そういう場所は定期的に人間が掃除してやればいい。
ブラーバのハードウェア自体は非常にシンプルな印象で、恐らくどのメーカーであっても、作ることはそれほど難しくないだろう。しかし、掃除ロボットのキモはハードウェアではなく、動作アルゴリズムであると筆者は思う。たとえハードウェアが似ていても、ソフトウェア次第で、掃除の満足度は良くも悪くもなるだろう。
iRobotの強みは、まさにここにある。利用者の住環境は千差万別。部屋の広さや形状、床材の種類、家具の配置など、さまざまな要素があり、そうした環境の違いがあっても問題なく動作させるためには、かなりのノウハウの蓄積が必要であることは想像に難くない。最も多くの利用者を抱えるiRobotには、当然、最も多くのフィードバックが集まる。
今回、ブラーバを幾つかの部屋で動かしてみたが、個人的に、特に不満は感じなかった。だが、掃除ロボットの購入を考えている人にとって、不安な点は「自分の部屋」でちゃんと動いてくれるかどうかだ。これは実際にその場所で使ってみないと正確には分からない。もし試用できるサービスなどもあれば、利用者としては安心して購入できてうれしいだろう。
筆者紹介
大塚 実(おおつか みのる)
PC・ロボット・宇宙開発などを得意分野とするテクニカルライター。電力会社系システムエンジニアの後、編集者を経てフリーに。最近の主な仕事は「日の丸ロケット進化論」(マイナビ)、「3Dプリンタ デスクトップが工房になる」(インプレスジャパン)、「人工衛星の“なぜ”を科学する」(アーク出版)、「小惑星探査機「はやぶさ」の超技術」(講談社ブルーバックス)など。宇宙作家クラブに所属。
Twitterアカウントは@ots_min
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