外国企業を狙い撃つ米国当局、製造業への高額課徴金の可能性も――PwC:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
PwCは「日本企業の海外での訴訟・コンプライアンスリスクへの備えと電子証拠開示への対応」をテーマに、米国の事例を中心に米国当局の規制強化の動きや、その対策について紹介した。
サービスファームのプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は2014年7月29日、「日本企業の海外での訴訟・コンプライアンスリスクへの備えと電子証拠開示(eディスカバリー)への対応」をテーマにメディア向けの説明会を開催。米国の事例を中心に米国当局の規制強化の動きや、その対策について紹介した。
外国企業を狙い撃つ米国当局の動き
同社によると、連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)や反トラスト法による、外国企業の取り締まり数や課徴金額は急速に拡大しているという。日本企業に関わる最近のニュースを見ても、武田薬品工業の製造物責任訴訟における約6200億円の賠償評決や、デンソーの自動車部品における価格操作による幹部の逮捕など、影響は拡大している。
FCPAとは、米国企業が外国政府の役人や政治家に対し贈賄またはその疑いのある行為を禁じた法律で、これらの行為の禁止とともに帳簿作成の適正化や内部統制など会計の透明性が求められる。これらは米国で事業展開を行う日本企業にも規制範囲が及んでおり、2008年以降、取り締まり数が拡大している。例えば、FCPAに関して米国証券取引委員会(SEC)と米国司法省の摘発を受け、和解金が高額だった上位10件中8件は米国以外の企業となっている。8位は日本の日揮で2011年に約2億1900万ドルの和解金を支払った。
また反トラスト法に対する価格カルテルの課徴金を見ると、高額な課徴金を支払ったケースは、過去2年間で摘発されたケースが非常に多いことに気付く。最高額はワイヤーハーネスなどに関する価格カルテルで、その額は約4億7000万ドルに及んでいる。
PwC フォレンジックサービス部門 サブリーダーのホンマ・シン氏は「米国司法省をはじめとする米国当局は外国企業の取り締まり強化を宣言しており、今後日本企業が規制に掛かるケースはもっと増えるだろう」と話す。
また課徴金を受けるケースについては「ワイヤーハーネスなどにおける価格操作が判明して以降、自動車部品に関する取り締まり強化が広がっており、自動車のさまざまな部品において、価格操作が行われていないか捜査の手が伸びている。その他の部品についても今後摘発される可能性が高まっている」とホンマ氏は強調する。
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