構想設計からクラウドまで、3Dデータの一貫活用さらに広がる:DMS2014リポート【CAD/CAE編】(2/3 ページ)
「第25回 設計・製造ソリューション展(DMS2014)」では、CAD/CAEツールにおいて新技術や新製品の紹介が多く見られた。中でも注目なのは、3Dデータの多方面への活用・展開だ。
ファン専用の最適化ツールも
一方、ソフトウェアクレイドルでは、ファン専用の最適形状を自動で作成する機能を紹介していた。ファンの羽根の枚数、厚み、ボス径、レーキ角、翼弦長などの数値を指定すると、目的の流量や圧損などを満たす形状が自動で求められるというものだ。
ファンはさまざまな熱を持つ装置に使われている。また、電子機器用の小型なものだけでなく産業用の大型ブロアなどもある。だが、ファンの形状は独特なため、シミュレーションではなく、実験がメインであったり、電子機器の組み込みではPQ特性を与えたりしていた。今回の機能は専門家向けではないが、通常の解析から最適化までを自動化したものになるので、CFD初心者にとっても使いやすいものになる。
同ツールは、非構造流体解析ツール「SCRYU/Tetra」のオプションとして提供する予定だという。このツールによって、経験のない人でも簡単に設計し、形状などを変化させることによって、特製の変化をつかむこともできる。例えば、ファンの設計メーカーなどと、このツールの結果を提示しながら相談することで、スムーズなやりとりも実現できるだろう。
また、ソフトウェアクレイドルのブースはツールの体験コーナーを設けていた。一連のCFDの作業を展示会の限られた時間で知ることは難しい。特に、初心者にとってはなおさらだ。そこで、今回のDMS2014のために、短時間で解析の業務を体験できるプログラムを作ったという。
今回体験できたのは、構造格子解析ツール「STREAM」とSCRYU/Tetraの2つだ。体験セミナーでは2時間かかる作業を圧縮しながら誘導画面を介して体験できるようにしていた。STREAMの体験セミナーは、スマートフォン用カバーの温度分布の変化を、エポキシ樹脂と自分の選んだ材質とで計算し、比較するというもの。表面温度のコンター図や流線ベクトル図、断面の各図について出力される。
また、解析中は、温度や流量バランス、圧力、流速などの計算経過を見ることも可能。熱の移動を可視化する「ヒートパスビュー」も出力され、熱がどこを伝わり、どこに行くかの収支を図示できる。実験ではどう移動するか分からないため、解析ならではの機能といえるだろう。体験結果はリポートとして出力してもらえる。
電子機器に使いやすいCAEツール
CAEの連成を強化していたのがムラタソフトウェアである。同社の「Femtet」は、村田製作所が社内で使っていたソフトウェアの製品化として出発した有限要素法の解析ツールだ。そのため、電子機器にとって使いやすいツールとなっている。7年前に販売を開始し、国内で300社に使われているそうだ。
Femtetは応力、電磁波、圧電、熱伝導、電場、磁場、音波と幅広い解析をカバーする。電場と構造の強連成などの機能は初めから搭載していたという。というのもFemtetが圧電素子を解析する目的で作られたからだ。今回は、新たに磁場と熱の強連成を開発。また、入力を簡易化する機能や粘弾性などの機能も追加された。
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