「だって、カッコイイでしょう?」 G-SHOCKっぽいタフ電卓はこうして生まれた:製品開発インタビュー(2/2 ページ)
「電卓」という成熟した市場に現れた、G-SHOCKっぽいカシオ計算機のタフネス電卓「fx-FD10 Pro」。土木測量に役立つプログラムを搭載し、屋外の操作でも安心なタフネス性能を備える製品はどのようにして生まれたか。
――屋外での利用が主ならば乾電池ではなく、太陽電池で駆動するほうが歓迎されるように思いますが(fx-FD10 Proは単四形乾電池4本で駆動する)。
大野氏 測量計算に役立つプログラムを多くプリセットすることは製品のコンセプト上、欠かせないのですが、これらの中にはプロセッサに高い負荷をかけるものもありますし、SDカードとUSB端子へのアクセスも電力を必要とするので乾電池駆動としました。
なので利用シーンという意味ではfx-5800Pを参照していますが、ハードウェアとしては「fx-9860GII SD」(国内で市販されている「fx-9860GII」の海外仕様。SDカードスロットが用意されている)をベースにしています。
大規模現場では測量機器とPCを連動させるシステムを導入することもありますが、そうしたシステムは高価でメンテナンス費用もかかります。測量機+電卓でまかなえる現場も多くありますので、SDカード/USBのデータインポートは有用だと思います。ただ、測量機器との接続テストにはかなりの時間を要しましたが(苦笑)。
――4月に販売を開始していますが、新製品についての反応はいかがでしょう。また、既に土木測量現場での利用実績の豊富なfx-5800Pに対する優位性はどこにあると思われますか。
根岸氏 まずfx-5800Pに対する優位性ですが、「カッコイイ」ことですね(笑)。まあ、それは冗談として、汎用的な関数電卓であるfx-5800Pと土木測量専業電卓であるfx-FD10 Proを比較すれば、使い勝手の面で後者に優位性があると思います。
ただ、土木測量の現場では利用頻度が低いと考え、べき乗関数計算や指数、対数、πといった一般的な関数電卓で用意されているボタンはあえて用意しませんでしたが、その仕様については「省かないで欲しかった」という声もありました。ただ、このような意見は関数電卓に防水防塵を求める人がいたということでもありますので、そうした意味では収穫ですね。
計算するという行為が行われている場所であれば、その状況に適した専用電卓をつくるというアプローチはあり得ると思います。問題はその市場がどこにあるのかという話ですが、すでに販売されている「防水防塵化された一般電卓」は付加価値のある汎用製品として“アリ”なのかもしれないですね。
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