メンターがヘテロジニアスSoC向け包括ソリューションを提供、作業効率アップを狙う:組み込みニュース
Mentor Graphics(メンター)が「業界初」(同社)というヘテロジニアス(異種混在)マルチコアSoC対応の包括的開発ソリューションを発表した。2014年夏以降の提供を予定する。
Mentor Graphics(メンター)は2014年7月17日、「業界初」(同社)というヘテロジニアス(異種混在)マルチコアSoC対応の包括的開発ソリューションを発表した。2014年夏以降の提供を予定している。
ヘテロジニアスマルチコアSoCとは、異なるアーキテクチャのプロセッサコアを複数個集積したSoCのことである。従来マルチコアSoCと言えば、同じアーキテクチャのプロセッサコアを複数個搭載するものが一般的だった。しかし既に、ARMのアプリケーションプロセッサコア「Cortex-A15」とマイコン向けプロセッサコア「Cortex-M4」の両方を2個ずつ搭載するTexas Instrumentsの「OMAP5432」のようなヘテロジニアスマルチコアSoCが登場し始めている。
ヘテロジニアスマルチコアSoCは、高い処理性能や豊富な機能などさまざまなメリットが得られるものの、ソフトウェアの開発効率が大きな課題になっている。もちろん、ヘテロジニアスマルチコアSoCが搭載するプロセッサコアそれぞれについての開発環境は既に整備されている。しかし、それらを1チップに集積したヘテロジニアスマルチコアSoCに最適化した開発環境は未整備だからだ。
今回メンターが提供するソリューションでは、開発環境の「Sourcery CodeBench」を用いて、ヘテロジニアスマルチコアSoCの各プロセッサコア上で動作させるOSやアプリケーションのコンフィギュレーション、開発、導入、管理を支援する。対応OSは、同社の組み込みLinux「Menter Embedded Liunx」とリアルタイムOS「Nucleus」で、これらをネイティブあるいはハイパーバイザー上を通じて実行できる。また、Linux上で動作させるアプリケーションから他のプロセッサにアクセスするためのリモートプロセッサフレームワーク(remoteproc)もサポートしている。
また各プロセッサコア上で動作するOSが統括するデバイス内サブシステムの間で通信を行うためのプロセッサ間通信(IPC)も行えるという。さらに、設計解析ソリューション「Sourcery Analyzer」を使えば、ヘテロジニアスマルチコアSoC上で動作するOSや機能に対して包括的なデバッグや性能解析も行える。
対応SoCについてはOMPA5432をはじめ、基本的にはARMのプロセッサコア搭載製品を優先する。メンター・グラフィックス・ジャパン(WW ESC セールスディレクター)冨永浩史氏は、「Texas Instrumentsはもちろん、ルネサス エレクトロニクスやFreescale Semiconductorなど主要SoCベンダーと協業関係にある」と述べており、標準的なヘテロジニアスマルチコアSoCについては順次、サポートしていく方針である。
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