三菱樹脂が中国で植物工場を拡販、2017年までに50カ所:製造マネジメントニュース
三菱樹脂は、中国江蘇省を中心に展開する農業協同組合と合弁で太陽光利用型植物工場の販売会社を設立した。2017年までに50カ所を販売目標としている。
三菱樹脂は2014年7月3日、同社の子会社で農業関連製品の開発を行っている三菱樹脂アグリドリームが、中国江蘇省を中心に展開する農業協同組合、江蘇省供銷合作総社(以下、チャイナコープ社)の子会社である無錫(むしゃく)市三陽生態農業発展(以下、無錫三陽社)と、中国における太陽光利用型植物工場の販売拠点として、無錫菱陽生態農業設施科技(以下、無錫菱陽社)を合弁で設立した。今後、中国全土を対象に太陽光利用型植物工場の販売を行っていくという。
三菱樹脂は2011年11月からチャイナコープ社と共同で、江蘇省無錫市に太陽光利用型植物工場の実証実験設備を建設し、野菜の栽培試験と現地スーパーでの販売を通じたマーケティングを行っていた。その結果、中国では食の安全・安心に対する意識が高まっており、植物工場で栽培した無農薬野菜に対するニーズがあることを確認できたという。これを受け三菱樹脂は、中国での植物工場事業の採算が見込めると判断し、太陽光利用型植物工場の販売と、販売後の技術サービスを手掛ける無錫菱陽社の設立を決断したとしている。
無錫菱陽社が販売するのは、ほうれん草、春菊、水菜などの苗を、人工光を用いた完全閉鎖型苗生産装置「苗テラス」で育てた後、高機能性フィルムを使用した農業ハウス内に移し、葉菜類用養液栽培システム「ナッパーランド」で栽培するシステム。通常の土耕栽培に比べて、より多くの無農薬野菜を安定的に生産できるという。
今後、無錫菱陽社は、三菱樹脂アグリドリームが日本国内で行ってきた無農薬野菜の植物工場での栽培経験と、チャイナコープ社の販売ネットワークを活用し、中国全土を対象に事業の拡大を行う方針だ。なお、無錫菱陽社は、2017年までの植物工場の販売目標を50カ所としている。
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