サムスンがスマートヘルスケアに本腰:やや乗り遅れた感はあるものの……?(3/4 ページ)
ヘルスケア向けリストバンド「Simband」を発表したばかりのSamsung Electronics(サムスン電子)。AppleやGoogleもスマートヘルスケア分野に積極的に乗り出す中、Samsungもやはり同分野に狙いを定めているようだ。
Scripps Translational Science InstituteでCDO(Cheif Digital Officer)を務めるDonald Jones氏もまた、デジタル医療革命をけん引していきたいと考える人物の1人だ。同氏は、Qualcommのデジタルヘルスケア事業部門の構築に携わった際に、1000万米ドルの賞金を懸けた技術コンペを開催した。1979年に公開された映画「スタートレック」に登場した医療用スキャナー「トリコーダー」のように、病気から弾丸による負傷まで、あらゆる種類の医療診断を即座に行うことが可能な機器の実現を目指す取り組みだ。2016年には、同コンペの勝者が決定する予定である(関連記事:目指すはスタートレックの「トリコーダー」? クアルコムの医療機器開発プロジェクト)。
Jones氏は数多くの企業との間で協業関係を構築しているが、とりわけ、糖尿病や心臓病、ぜんそくなどの病気を治療したり、もっと効果的に患者に投薬したりすることが可能な、トリコーダーのような機器やアプリの開発を手掛ける新興企業との連携に力を入れている。Jones氏によると、現在こうした分野は投資家の間で最も高い成長が見込まれていて、クラウドソーシングを引き付けているという。
Jones氏は、IMEC Technology Forumにおいてプレゼンテーションを行い、その中で、「医療機器との相互作用に適しているのは、腕時計だと考えている。また、スマートパッチは、十数億個規模の出荷数量が見込める製品だ。今後は人間の身体そのものが、インターネット接続ノードになるだろう」と述べている。
ただし、誰もがデジタル医療革命を望んでいるというわけではないようだ。
Jones氏は、「消費者側の受け入れ準備は整っているが、問題は、既存の医療体制に受け入れられるかどうかという点だ。ただし今後は、消費者によって後押しされるとみている」と述べ、既に何百万人ものユーザーを魅了しているガジェットやアプリなどを例として取り上げてみせた。
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