トヨタの新テレマティクス「T-Connect」はマイクロソフト+IBM+Linux?:車載情報機器(2/3 ページ)
トヨタ自動車の新テレマティクスサービス「T-Connect」は、マイクロソフトの「Azure」をはじめIT系企業のサービスやソフトウェアを活用するとともに、対応カーナビである「T-Connectナビ」をLinuxベースに変更するなど、現行サービスの「G-BOOK」から大幅な刷新が図られている。
アプリ開発環境「TOVA」にはIBMのミドルウェアを採用
3つ目は、T-Connectナビ専用のアプリ「Apps(アップス)」である。Appsは車両情報と連動するアプリであり、クラウドであるトヨタスマートセンター内の「T-Connectアプリストア」からダウンロードできる。T-Connectナビには、最大20個のアプリをインストール可能だ。
現時点では16種類のアプリが用意されている。これらのうち7種類は、トヨタ自動車以外の企業が提供するものだ。中でもパナソニックの「エアコン操作アプリ」は、自宅などのエアコンを車両内から操作できる機能を持つ(関連記事:トヨタとパナソニックが自動車と家電をつなげる、2014年後半にサービス開始)。また、あいおいニッセイ同和損保の自動車保険アプリを使えば、走行距離1km単位での保険料の計算が可能になる。これら2つのアプリは、トヨタスマートセンターと、パナソニックやあいおいニッセイ同和損保のクラウド連携によって実現されたものだという。友山氏は、「今後は企業間のクラウド連携によるサービス提供が増えるだろう」と話す。
さらにAppsでは、トヨタ自動車以外の企業が開発/提供できるようなオープンな環境を「TOVA(Toyota Open Vehicle Architecture:トーバ)」を用意した。TOVAでは、アプリ開発希望者にソフトウェア開発キットを提供する(アプリ開発希望者向けのWebサイトも公開されている)。開発したアプリは、トヨタ自動車の認証を経て、T-Connectアプリストアで入手可能になる。有償アプリ向けの課金システムもあるという。「課金システムを用いる場合の料金回収代行手数料は20%に設定している」(同社)という。
なおTOVAのベースになっているのは、IBMの「IBM Lotus Expeditor for Automotive」である。IBM Lotus Expeditor for Automotiveは、アプリ配信、実行環境、アプリのライフサイクル管理、プラットフォーム固有サービスなどを提供するミドルウェアだ。またIBMは、TOVAのソフトウェア開発キットの開発も担当している。
4つ目は、T-Connectナビだけでなく、スマートフォンやタブレット端末からも利用できるマルチデバイス対応になる。スマートフォンやタブレット端末向けの「T-Connectスマホアプリ」を使えば、エージェントをはじめT-Connectのほとんどのサービスを利用できる。また、マイカーの燃費や走行距離、目的地などの走行履歴データを管理できる「マイカーログ」や、駐車場を降りてから最終的な目的地までの徒歩の経路を案内する「ラストワンマイル」など独自のアプリも用意しているという。
G-BOOKで好評だった「オンラインケア」は、T-Connectでも継続して提供される。中でも、ビッグデータを使って最適なルート案内を行う「Tルート探索」については、2014年秋からトヨタ自動車の物流車両のデータも反映させてさらなる情報の充実が図られる。
さらにオンラインケアは、T-Connectスマホアプリでも利用できるという。つまり、G-BOOKではクルマの中で使うことが前提だったオンラインケアが、T-Connectになってクルマの中でも外でも利用できるようになるというわけだ。
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