3Dプリンタ「FORTUS」のドライバに新版が登場、造形時間の短縮が可能に:3Dプリンタニュース
丸紅情報システムズは、米国ストラタシス社製3Dプリンタ「FORTUS」シリーズのドライバソフト「Insight」がアップグレードされたと発表した。「Use Model Material」や「Stabilize Wall」といった新機能が追加され、ユーザビリティの向上や造形時間の短縮が可能になったという。
丸紅情報システムズ(以下、MSYS)は2014年6月16日、米国ストラタシス社製3Dプリンタ「FORTUS」シリーズのドライバソフト「Insight」が、「Ver. 8.1.1」から「Ver. 9.1」にアップグレードされたと発表した。MSYSと対象機種(FORTUS 250mc/FORTUS 360mc/FORTUS 400mc/FORTUS 900mc)の保守サービスを契約しているユーザーには、アップグレードについての案内が同社の担当者から個別に行われる。
FORTUSシリーズは、FDM(熱溶解積層)方式で3次元モデルを造形する3Dプリンタ。今回のInsightのアップグレードにより、「Use Model Material」や「Stabilize Wall」といった新機能が追加され、ユーザビリティの向上や造形時間の短縮が可能になったという。
Use Model Materialで造形時間を短縮
FDM方式の3Dプリンタは、造形物自体を形成するモデル材と空間部分を支えるサポート材を射出し、層を積み重ねるように造形を行う。造形中にこれら2種類の材料を射出するため、ノズルを切り替える際に待機時間が発生する。新機能のUse Model Materialは、従来サポート材で造形されていた部分に、モデル材を使用することができる機能だ。これにより、モデル材で連続して造形することで、射出ノズルの切り替え回数と待機時間が削減でき、造形時間の短縮が可能になった。
MSYSが材料にABS Plusを用いて検証用に造形したモデル。全体の造形時間がUse Model Material機能を利用しない場合は4時間44分だったのに対し、使用した場合は2時間44分に短縮されたという(クリックで拡大)出典:丸紅情報システムズ
Stabilize Wallで造形時間とコストを削減
3Dプリンタで厚みの薄い立壁など、不安定な形状のものを出力する場合、それらが倒れないようにサポートする部分を造形する必要がある。Stabilize Wallは、そのサポート部分を三角柱を並べたような中空構造で造形し、また、材料にサポート材ではなくモデル材を使用できる機能だ。これにより、サポート材とモデル材の射出切り替え回数を減らすことで造形時間が短縮できる。また、サポート材の使用量を抑えられることから、コストの削減も期待できるという。
MSYSが材料にABS-M30を用いて検証用に造形したモデル。全体の造形時間が、Stabilize Wall機能を利用しない場合は144時間56分だったのに対し、使用した場合は99時間45分に短縮されたという(クリックで拡大)出典:丸紅情報システムズ
モデル材内部の中空形状パターンの新種類が登場
モデル材内部の中空形状パターン「スパーズ」に、新たに3つの種類が追加された。重量と密度を減らしつつ、強度を確保することができ、使用用途としてはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)用溶解コアなどが挙げられるという。また、既存の形状パターンと同様に、モデル材使用量と造形時間削減の効果が期待できるとしている。
今回のアップグレードで追加されたその他の新機能は、以下の通り。
その他の追加機能
- Circular SMART supports:Circular SMART supportオプションをSupport Parameterに追加。高く狭いサポート材部分を安定させるため、徐々に円形になるよう形状を変更させていく機能
- STL thumbnail images:STLファイルのサムネイルイメージを表示する機能
- Sacrificial tower:自動的にSacrificial tower(ダミー)を追加するオプションをPackメニューに搭載
- Estimate pack:pack画面上のデータの造形時間と材料使用量を予想するEstimateボタンをPackタブ画面に追加
- Windows 8に対応:対応OSにMicrosoft Windows 8 Pro、Enterpriseが追加
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