大地震発生時に“通れる道路”の情報を半日以内に配信、トヨタなど8社が協力:車載情報機器
ITS Japanは、地震や津波などの大規模災害が発生した際に、通行実績情報を迅速に集約し公開する仕組みを構築したと発表した。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど8社が協力して、災害発生から12時間以内に配信を開始し、その後1時間ごとの更新を1週間継続できるようにした。
ITS Japanは2014年6月5日、地震や津波などの大規模災害が発生した際に、通行実績情報を迅速に集約し公開する仕組みを構築したと発表した。今回構築した仕組みにより、災害発生から12時間以内に配信を開始し、その後1時間ごとの更新を1週間継続できるという。
通行実績情報とは、自動車メーカーやカーナビゲーションシステムメーカーなどのテレマティクスサービスを利用している車両の位置情報であるプローブ情報を基に、自動車が実際に通行できた道路の情報をまとめたものである。東日本大震災では、震災発生から8日後の2011年3月19日にITS Japanが公開し、東北地方への物流支援に役立てられた実績がある(関連記事:「平常時の取り組みが災害時に役立つ」、通行実績情報マップの成果と課題が示唆)。
東日本大震災で公開された通行実績情報には、ホンダ、パイオニア、トヨタ自動車、日産自動車の4社のプローブ情報が用いられていた。今回構築した仕組みでは、これら4社によるマイカー系のプローブ情報に、富士通が提供するタクシー系と、いすゞ自動車とボルボグループ(UDトラックス)、日野自動車が提供するトラック系のプローブ情報を追加。「乗用車・トラック通行実績情報」となり、さらに高い精度を実現できるようになった。
通行実績情報の集約/配信基準も決定
通行実績情報は大規模災害が発生した際に役立つものであり、常時提供していてもあまり意味がない。今回の仕組みでは、通行実績情報を集約/配信する判断基準を設けている。まず地震については、震度6弱以上(東京23区は震度5強以上)の場合に通行実績情報の集約/配信を自動的に始める。提供するエリアは、震源地など震度5強以上の地域を含む1次メッシュ(緯度経度に基づく約80km四方の区域)としている。
風水害、火山活動、土砂崩れなどの広域災害については、内閣府に非常災害対策本部が設置され、同本部が広範囲の道路交通に支障がある広域的な災害であると判断したときに手動で個別対応するという。
これらの判断基準で通行実績情報を集約/配信することになった場合、災害発生から12時間以内を目標に配信を始められるようにする。配信開始後は、1時間ごとの更新を1週間継続する。なお、配信される通行実績情報は、集約/統合化によって個別識別できないデータに加工される。
集約された通行実績情報は、画像データとしてGoogleの地図サービス「Googleマップ」などのデジタル地図と組み合わせて一般公開する。この他、行政機関(府省庁など)にも通行実績情報をデータとして提供する。
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