「IoT」の“カタチ”が見えた・分かった!? ――産業や社会を革新する技術たち:組み込みイベントリポート【ESEC2014】(2/4 ページ)
組み込み業界のビッグイベント「第17回 組込みシステム開発技術展(ESEC2014)」。今回の展示会を象徴するキーワードは、「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」をおいて他にないだろう。各社の展示内容から、これまで以上に踏み込んだIoTの具体的な“カタチ”が見えてきた。
IoTセキュリティやホームゲートウェイも
同じくインテル傘下のマカフィーは、組み込みシステム向けセキュリティ製品「McAfee Embedded Control」を展示した。同製品の特徴は、システムで動いてもよいプログラムをリストアップし、リストにあるプログラムしか実行させないことでシステムを守る「ホワイトリスト方式」を採用している点だ。同様に、ホワイトリスト方式を用いた製品もあるが、多くの場合、ホワイトリストの更新や入れ替え作業を行う際、いったんシステムを停止して保護を解除する必要がある。これに対し、マカフィーのソリューションは、システムを停止したり、ホワイトリストの保護を解除したりすることなく、追加変更作業が行える。これによって、攻撃だけでなく、人的なオペレーションミスによるトラブルも防止できるという。
また、デジタルサイネージ向けでは、インテルが間もなくリリース予定という「Campaign Manager 2.0」のデモを行っていた。これは、複数拠点にあるデジタルサイネージを1つのコンソールで管理できるソリューションで、年初にバージョン1.2をリリースしていた。最新の2.0では、サイネージの表示順序やムービーの管理・制御に加えて、サイネージデバイスにカメラなどのセンサーを取り付けて、そのセンサーからの情報によって表示内容を変化させることが可能になった。例えば、サイネージを見ている人の人数や性別、大まかな年齢などによって、異なるコンテンツを表示できるという。
バイテックは、組み込みシステム向け低消費電力SoC「Quark」搭載の開発ボードに、ネットワーク経由で制御できる市販の赤外線リモコン「IRkit」の機能をポーティング。スマートフォンからインターネット経由で、テレビや照明のオン/オフが行えるホームコントローラのデモを披露していた。
イノテックは、ホームゲートウェイ向けに必要な各種インタフェースを、1つのチップに搭載したAtomベースのSoC「Puma 6」のリファレンスボードを使ったソリューション「4K Media HEMS Gateway」を展示。日本市場向けに地デジのチューナーや配信のためのトランスコーダーを開発し、ホームゲートウェイ経由で、タブレット端末に地デジ放送を配信するデモを実演していた。今後、日本で普及が想定される4Kコンテンツ配信や、ケーブルテレビ向けに策定されたプロトコル「DOCSIS」、電力会社のスマートグリッドなど、実現可能性が高いものはほとんどカバーしているという。
デジタル簡易無線を活用したソリューション例を披露――アクセル&ニューゾーン
アクセルのブースでは、子会社のニューゾーンが開発・製品化した小型デジタル簡易無線モジュール「NZ211M」(関連記事:ニューゾーン、データ伝送用デジタル簡易無線モジュール「NZ211M」を発売)と、狭帯域向け静止画像圧縮伝送ボード「NZ103B」を使った、農業用データ収集ソリューションや自動販売機の在庫管理/配達ソリューションなどを展示していた(関連記事:「音声だけじゃない! これからは画像も送れる!!」――ニューゾーンの狭帯域画像伝送ソリューション)。
農業向けでは、NZ103Bによって100分の1程度に圧縮した画像データと、気温や湿度などの各種センサーからのデータを、NZ211Mにより、デジタル簡易無線でサーバに送信するソリューションを提案。一般的に農家(の自宅)と農地は離れていることが多く、農地自体もWi-Fiでカバーできる範囲を超えているケースがあるため、通信速度は遅いが、大きな障害物で遮られていなければ数km程度離れていても通信できるデジタル簡易無線の優位性が生かせるという。
もう1つのソリューションは、自動販売機の在庫データをデジタル簡易無線で送ることで、設置場所まで行かずに補充製品の準備があらかじめでき、補充作業時も駐車場から自動販売機までを一度の往復で済ませられるというもの。3GやPHSの通信ユニットを使うとランニングコストが大きくなるが、デジタル簡易無線であれば通信自体にコストはかからないので、コストを大幅に抑えつつ作業効率を上げることができるという。
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