クルマを作るって、こんなに多くの力が必要なんだ:モデルベース開発奮戦ちう(2)(3/4 ページ)
燃費世界一を目指すハイブリッド車「バンビーナ」の開発に関わる中で、モデルベース開発を一から勉強している電装部品メーカーの若手女性技術者・小野京子。初めて参加した自動車メーカーの「大部屋会議」に圧倒されつつも、モデルベース開発に“前のめって”いく。
分かんないことは、聞いちゃえ
長時間の大部屋会議が終了し、帰り支度をしている三立精機のメンバーのところに鈴木さんが来て声を掛けた。
大滝様。少々ごあいさつさせていただけませんでしょうか。
(あっ!)
鈴木さんと一緒に現れた人物に驚いた。谷田様だ。早速、大滝部長が対応する。
谷田さん、今回もすごい開発にご一緒させていただき光栄です。
こちらこそ光栄です。今回のプロジェクトはCVT制御が大きなカギです。ぜひとも、これまで以上のご協力をお願いします。
お任せください。こちらも新設のモデルベース開発課を中心に全力で対応させていただきます。
あの……
おや? 初めてお会いしますね。何でしょう?
お、小野京子と申します。今日はありがとうございました。モデルベース開発のことで、質問があるのですがよろしいでしょうか!
これこれ小野くん。唐突に失礼ですよ。
いえいえ。ぜひともおうかがいしたいと思います。どうぞ何でも聞いてください。
谷田様は、専門性の高い、いかにも学者肌の厳しい方のように見える。でも、私のぶしつけな態度に怒ることなく温かい言葉で対応していただけたので、思い切って質問を続けることにしてみた。
私は、これまでC言語によるプログラミングで制御開発を行ってきました。現在、モデルベース開発を勉強中なんですが、C言語のプログラミングに慣れた技術者がモデルベース開発を実践するに当たって、どういった点に留意すればよろしいのでしょうか? 例えば、C言語を交えながら開発してもいいものなのでしょうか?
なかなか面白い質問ですね。直接の答えになるかどうか不安ですが、聞いてもらえますか?
谷田様は、モデルベース開発のことがまだよく分かっていない私に、順を追って説明してくれた。
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