東芝が車載CMOSセンサーを披露、ダイナミックレンジが126dBの品種も:人とくるまのテクノロジー展2014
東芝は、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、同社が注力している車載CMOSセンサーを紹介した。HDR機能を搭載しており、130万画素の製品のダイナミックレンジは126dBと極めて広い。
東芝は、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、同社が注力している車載CMOSセンサーを紹介した。
展示した車載CMOSセンサーは3品種ある。30万画素の「TCM3212BGA」と130万画素の「TCM3221PBA」、200万画素の「TCM3231PBA」である。これら3品種は、車載分野で利用しやすいように、明暗のコントラスト比が高い場所でも対象をきちんと撮影できるHDR(ハイダイナミックレンジ)機能を搭載している。130万画素のTCM3221PBAに至っては、ダイナミックレンジは126dBと極めて広い。
一般的なCMOSセンサーのHDR機能は、明るい画像と暗い画像を交互に撮影するマルチフレーム方式を用いるのが一般的だ。マルチフレーム方式の課題とされるのが、高速で移動する対象を撮影する際に発生するモーションブラー(被写体ぶれ)である。自動車の運転支援システムなどにCMOSセンサーを用いる場合、モーションブラーが起こると先行車両や歩行者などの検知を行えなくなる可能性がある。
これに対して東芝の車載CMOSセンサーのHDR機能は、マルチフレーム方式ではなく、1枚の画像の中で明るいラインと暗いラインを交互に撮像するシングルフレーム方式を採用している。これによって1枚の画像の中で明暗両方のコントラストをカバーして撮影できるので、モーションブラーが起こりにくいというわけだ。
この他、トンネルの中から外に出る場面など、暗い場所から明るい場所に移動するときに発生するホワイトアウトへの対策として、高速電気シャッターも採用している。
30万画素のTCM3212BGAと200万画素のTCM3231PBAは既にサンプル供給を始めている。量産開始時期は、TCM3212BGAが2014年9月、TCM3231PBAが2015年10月。130万画素のTCM3221PBAのみ2014年8月からサンプル供給を開始する予定で、量産時期は2015年2月となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東芝のバックモニター向けCMOSセンサーはTSV技術で30%小型化、HDR機能も搭載
東芝の車載カメラ向けCMOSセンサー「TCM5126GBA」は、TSV(シリコン貫通電極)技術の採用により、従来品と比べて実装面積を約30%削減している。逆光条件でも被写体を高品質に撮像できるハイダイナミックレンジ(HDR)機能も搭載した。 - 東芝が画像認識プロセッサに「Cortex-A9」を搭載、監視カメラなどへ展開を拡大
東芝の画像認識プロセッサの新製品「Visconti3」は、ARMのアプリケーション処理用プロセッサコア「Cortex-A9」の搭載により、スマートフォンなどと連携動作させる機能をはじめソフトウェア開発が容易になった。これによって、車載向け中心だった事業展開を、監視カメラなどにも広げる方針だ。 - 車載CMOSセンサーで「業界初」の裏面照射型、オムニビジョンがADAS向けに開発
OmniVision Technologies(オムニビジョン)が、車載CMOSセンサーでは「業界初」(同社)となる裏面照射型の製品「OV10640」と、OV10640のコンパニオンプロセッサ「OV490」を発表。バックモニターやサラウンドビューに加えて、先進運転支援システム(ADAS)に最適だとする。