グーグルが目指す“完全な自動運転”、市街地対応により一歩前進:安全システム
Google(グーグル)が自動運転車開発プロジェクトの開発状況について報告。本社がある米国カリフォルニア州マウンテンビューでの実証実験を経て、市街地での自動運転を高いレベルで実現できるようになったという。最終目標とする“完全な自動運転”に向け、一歩前進した形だ。
Google(グーグル)は2014年4月28日(米国時間)、試作車両を使って進めている自動運転技術の開発状況について報告した。
同社の「自動運転車開発プロジェクト(Self-Driving Car Project)」は2012年8月から、市街地における複雑な交通条件の下であっても自動運転を可能にするためのフェーズに移行した。現在は、グーグルの本社がある米国カリフォルニア州マウンテンビューの市街地で実証実験を行っている。自動運転車の累計走行距離は、2010年〜2012年8月の30万マイル(約48万km)以上から、市街地における約1年8カ月の実証実験を経て、間もなく70万マイル(約113万km)に到達するという。
同プロジェクトは、「自動運転車にとって、高速道路(フリーウェイ)を1マイル走るよりも市街地を1マイル走る方がはるかに難しい。市街地では、狭い領域の中で、異なる交通規則に従って移動する何百のものを見分けなければならない。われわれは、この何百のもの――歩行者、バス、交通指導員による停止のジェスチャー、自転車の搭乗者による右折もしくは左折OKの合図など――を見分けられるように、自動運転車のソフトウェアを改善した」としている。
市街地における交通環境は、人間から見れば極めて混沌に満ちていて、何事も突然起こるように感じられる。歩行者が交通規則を無視して道路を横断したり、他の車両が突然車線変更して横入りしたり、二重駐車している配送車が行く手を遮ったりといった事態が起こるからだ。しかし、グーグルの自動運転車のソフトウェアは、市街地における実証実験で数千以上の異なる状況を経験したことにより、ほとんどの交通条件下において、起こりそうな事象(赤信号で他車両が停車する)から、起こらなさそうな事象(赤信号で他車両が停車せずにそのまま通過する)まで予測できるようになったという。
グーグルは、他の都市における実証実験の前に、まだ解決すべき課題が多く残っているためマウンテンビューでの実証実験を継続する考え。「マウンテンビューでの実証実験を始めたころは自動運転で対応できなかった交通条件下でも、現在は問題なく自動運転できるなど進化は著しい。われわれのプロジェクトが最終目標とする、人間の運転介入が一切不要な完全な自動運転車の実現に向けて、実証実験の走行距離が1マイル増えるごとに成長を続けている」(グーグル)という。
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