画像診断で高まる3D表示へのニーズ、3Dプリンタとの連携も:2014国際医用画像総合展(ITEM 2014)
「2014国際医用画像総合展(ITEM 2014)」では、CTで取得した2次元画像を3次元(3D)化して表示するといった展示が目立った。さらに、そのデータを3Dプリンタで印刷し、教育や診断に生かすというアイデアも提案されている。
「2014国際医用画像総合展(ITEM 2014)」(2014年4月11〜13日、パシフィコ横浜)では、CTで取得した臓器などのデータを3次元(3D)で表示するビュワーを複数のメーカーが提案していた。日立メディコによれば、「CTの画像を3Dで見たい」というニーズはここ2〜3年で一気に高まったという。特に、手術前のシミュレーションで活用したいという声が多い。臓器や血管、疾患部の位置関係は、3D表示の方が把握しやすいからだ。
東芝メディカルシステムズは、裸眼3Dディスプレイシステム「HyperViewer」を展示した。同社の医用画像処理ワークステーション「Vitrea(ヴィトリア)」と組み合わせて使う。Vitraは、CTから画像データを受け取って3Dデータを作成する。それをHyperViewerで表示するという仕組みになる。HyperViewerは、専用メガネが不要というのが最大の特長だ。同社によると、「CT画像を3Dで見たいというニーズは多いが、やはり専用メガネが煩わしいようだ」という。HyperViewerは、9視差映像(9方向から見た9つの画像データ)を1画素ごとに表示するインテグラルイメージング方式を採用し、裸眼で立体視できるディスプレイを実現した。
造影剤の値が高いものを白く表示するなど、「IVR*)で使う画像に近いものを表示できるので、IVRに携わる医療従事者は違和感なく使うことができる」(東芝メディカルシステムズ)という。複数人で同時に観察することもできるので、術前シミュレーションだけでなく、術中参照にも役立つ。
*)IVR:Interventional Radiology。血管内治療、血管内手術とも呼ばれる。X線画像や超音波画像、CT画像を見ながらカテーテルを入れて治療する方法。
3Dプリンタとの連携も
日立メディコは、3Dディスプレイシステム「eXtation」を展示した。こちらは専用メガネをかけて見るタイプだ。術前シミュレーションを主な用途としているが、将来的には3Dプリンタとの連携も視野に入れている。ITEM 2014では、eXtationのデータを使用して3Dプリンタで作成した大動脈を展示し、来場者の興味を引いていた。同社は、「3Dプリンタとの連携は、教育や患者への説明などの用途で活用できると見込んでいる」と話している。
関連記事
- “日本人の匠の技”が生きるCT装置、GEが発売
GEヘルスケア・ジャパンは、新CT「Revolution CT」を発売した。画質の高さ、測定スピードの速さ、撮影範囲の広さを全て備えたCTとうたっている。その鍵になっているのがコリメーターだ。非常に精密な機器で、「日本人の匠の技が生きている」と強調する。 - 心臓の3次元モデルを“手元に引き寄せて”観察、ダッソーがデモを披露
ダッソー・システムズは「MEDTEC Japan 2014」で、心臓の3次元モデルを観察できるデモを行った。専用のペンを使うと、心臓のモデルを回転させたり、自分の方に“引き寄せて”観察したりできる。 - 3DプリンタやCADの2013年ってどうだった?
2013年は、まさに「3Dプリンタ」の話題で持ちきりだった。さて今後、このブームは一体どうなっていくのか。3D-GAN理事が、3次元データまわりの1年を振り返った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.