日産自動車が年産20万台の工場をブラジルに開所、「マーチ」から生産:工場ニュース
日産自動車は、ブラジルのリオデジャネイロ州レゼンデに、年産20万台規模の自動車工場を開所した。総投資額は26億ブラジルレアル(約1184億円)。今回の工場建設をてこに、2016年までにブラジルの自動車市場において日系自動車メーカーでトップとなる5%のシェア獲得を目指す。
日産自動車は2014年4月15日、ブラジルのリオデジャネイロ州レゼンデに年産20万台規模の自動車工場を開設したと発表した。総投資額は26億ブラジルレアル(約1184億円)で、「ブラジルにおける最大の自動車関連投資の1つになる」(同社)という。今回の工場建設をてこに、2016年までにブラジルの自動車市場において日系自動車メーカーでトップとなる5%のシェア獲得を目指す。
レゼンデ工場の敷地面積は305万m2、建屋面積は22万m2。年産20万台規模の車両組み立て工場と、同20万基規模のエンジン工場を持つ。従業員数は現時点で1500人だが、将来的には2000人にまで増やす計画である。同工場で生産するのは、「マーチ」や「ノート」といった小型車向けのVプラットフォーム車両とエンジンで、まずはマーチと排気量1.6l(リットル)のフレックス燃料エンジンから生産を始める。
開所式に出席した同社社長のカルロス・ゴーン氏は、「ブラジルは、世界第4位の自動車市場であり、日産自動車の中南米の発展にとって重要な役割を果たしている。このレゼンデ工場は、成長目標を達成するために必要不可欠なものだ。われわれのゴールは、ブラジルで2016年までに市場シェア5%を達成し、品質と顧客サービスの両方で日系自動車メーカートップとなることだ」と語る。
隣接するサプライヤパークの活用で現地調達率を80%へ
レゼンデ工場は、日産自動車が国内工場で培ってきた技術やノウハウを取り込んでいる。工場に導入した総計88台のロボットは、より精度が求められる作業や、安全性あるいは人間工学上のリスクを伴う可能性のある作業を行う。また多くの作業エリアでは、無人搬送車(AGV)により部品を積んだ小型カートを動かしているので、エンジンのついた搬送ベルトやチェーンで動くプラットフォームを使うことなく、より安全で静かなオペレーションが可能になっている。
車両塗装工程は3ウェット水性塗装システムを採用。ベースと光沢剤を下塗りのすぐ後に塗装することで、塗装プロセスを短縮し、エネルギー消費を削減できる。ロボットによる塗装の際に、塗料と溶媒の無駄を低減するカートリッジを使うことで、揮発性有機化合物(VOC)排出を減らせるという。
レゼンデ工場に隣接する形で、サプライヤが入居できるサプライヤパークのためのインフラも整備した。工場内を拠点とする2社とサプライヤパークの4社の計6社が既に事業を行っている。シート製造を行うタチエス、サスペンションを手掛けるヨロズ、ゴム製品を扱う鬼怒川ゴム、コクピット部品を生産するカルソニックカンセイ、鋼板サプライヤの三井物産スチール、ブレーキと燃料管を生産する三桜である。日産自動車は、サプライヤパークを活用することで、2016年までに現地調達率を80%まで向上させたい考えだ。
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