トヨタ自動車が高熱効率エンジンを新開発、燃費を10%以上向上:エコカー技術
トヨタ自動車は、世界トップレベルの高い熱効率を実現する低燃費エンジン群を開発。同排気量の同社の従来エンジンと比べて、JC08モード燃費を10%以上向上できるという。まず排気量1.3lのガソリンエンジンを新型「ヴィッツ」に、排気量1.0lガソリンエンジンを新型「パッソ」に搭載する方針である。
トヨタ自動車は2014年4月10日、ハイブリッド車専用エンジンで培ってきた燃焼改良と損失低減技術により世界トップレベルの高い熱効率を実現する低燃費エンジン群を開発したと発表した。同じ排気量を持つ同社の従来エンジンと比べて、JC08モード燃費を10%以上向上できるという。間もなくマイナーチェンジを行う小型車「ヴィッツ」と「パッソ」から搭載を始め、2015年までに全世界で合計14機種のエンジンを順次導入する計画。
新開発の高熱効率・低燃費エンジン群のうち、今回具体的な製品として発表されたものは2つある。排気量1.3l(リットル)のガソリンエンジンと、排気量1.0lのガソリンエンジンである。
排気量1.3lガソリンエンジンでは、ハイブリッド車用エンジンで実績のあるアトキンソンサイクルを採用するとともに、圧縮比を13.5まで高めることにより膨張比を上げて排熱を抑制した。新形状の吸気ポートも採用した。この吸気ポートは、シリンダー内に強いタンブル流(縦回転の混合気の流れ)を生成することで燃焼効率を高められる。さらに、クールドEGR(排出ガス再循環システム)や、電動連続可変バルブタイミング機構(VVT-iE)なども用いて燃焼改善と損失低減を追求している。
これらの取り組みにより、量産ガソリンエンジンの最大熱効率として世界トップレベルとなる38%を達成したという。車両に搭載した場合には、アイドルストップシステムの効果などと相まって、JC08モード燃費を約15%向上できるとする。この排気量1.3lガソリンエンジンは、新型ヴィッツに採用される見込みだ。
排気量1.0lガソリンエンジンは、ダイハツ工業との共同開発した。排気量1.3lガソリンエンジンと同様に新形状の吸気ポートやクールドEGRの採用や、高圧縮比化などにより、37%の最大熱効率を達成した。車両に搭載した場合、アイドルストップシステムなどさまざまな低燃費技術の効果も加味すると、JC08モード燃費を約30%向上できるという。この排気量1.0lガソリンエンジンは、新型パッソへの採用が見込まれている。
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