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3年目のナントカ。「春のおばかモノづくり祭」エイプリルフールだから技術の無駄遣い(3/5 ページ)

今年のエイプリルフールも、なんだかんだでやりますよ。日本の製造業関係の皆さまから寄せられた、ウソとホントが適当に入り交るおばか作品・ストーリーの数々を紹介します。3年目のおばかぐらい大目に見てください!

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“絶対に”ねじなめんなよ

 ねじ屋さんの浅井製作所 浅井英夫さんは、「ねじなめんなよ」と長年、世の中に訴えてきました。時に、Tシャツに掲げて、うちわにも掲げて……。


浅井製作所の浅井英夫さん


 しかしその訴えはむなしいものでした。相変わらず、世の中の不器用さんたちが、自分が丹精込めて作ったねじをなめになめまくります。「なぜだ、なぜなんだ……っ!」、浅井さんは日々、苦悩していました。

 「なめづらい」という製品は既に存在するのですが、「絶対になめない」と言い切れるものは、いまだに存在しません。「絶対なめないねじを作ってやるんだ!」――浅井さんは、何回も何回も試作も繰り返しました。何日も眠れない日も続いたといいます。

 「もう無理だ」と諦めかけていたある日、ふと、「押してダメなら引いてみな」という言葉が浅井さんの脳裏をよぎりました。「そうだ、そうじゃないか! “逆もまた真なり””北風と太陽”だ!」 。そうと分かれば話は早い! 浅井さんはドライバーの形状を緻密に計算し、どんなものにも対応できる形を割り出し、ついに究極の「なめないねじ」を完成させたのです。


むむ?

 一見、六角穴付き皿ボルトのように見えますが……、あっ!


これは!

さらにメッキまで掛けてしまった!

 これは絶対になめるわけありません。だって……、なめる要素がないのだから!! 浅井さんは、ドライバーに強固に立ち向かうのではなく、「あえて負けを認める」道を選んだのでした。


絶対になめないねじを作るための金型:旋盤加工です

 ……これで本当によかったのでしょうか?

関連リンク:
浅井製作所

ばねで武器を作りたい(雰囲気だけ)

 世の中のさまざまな製品に組み込まれているばねですが、まさに黒子的な存在です。ばね屋さん 五光発條の村井秀敏さんは、「脇役じゃなくて、主人公にしたいんだ!」と、日々、ばねの地位向上活動に取り組んできました。


五光発條 村井秀敏さん

 ばねの地位向上を目指してグローバルに活動する村井さんは、時に海外の治安の悪い地域に出向かなければなりません。自分の身は、自分で守らなければ! 「それならやっぱり、武器もばね製だよね!」と思った村井さんでしたが、日本での武器の製造や携帯は規制されていますし、もちろん航空機にも持ち込めません。「お縄になってしまったら、地位向上もくそもなくなってしまう。仕方ない、モデルガンにしておくか!」……ということで、バネブロック「Splink」で作ったモデルガンがこちらです。ちゃんと弾倉もあります。装弾数は5と10の2タイプ。

「海外出張でドキドキの機内持ち込み!! ジャケットの内ポケに忍ばせての『ゲートパターン』か? 手提げカバンに入れての『エックス線画面パターン』か? このばねモデルガンはドイツが誇るカール・ワルサー社の最新ハンドガン『PPQ』がモデルです」(村井さん)。ちなみに、弾は撃てません。

関連リンク:
五光発條

「ネコは本当に小判に興味がないのでしょうか」(長野県・自営業)

 設計、製作、営業と1人で何でもこなす、「ネコの手も借りたい」ほど忙しい、Material工房・テクノフレキスの藤崎淳子さん。業界では希少な存在である“設計女子”でもあります。


Material工房・テクノフレキスの藤崎淳子さん

 テクノフレキスにも社員が少しいますが、業務には全く役に立たないそうです。役に立たないどころか、迷惑を掛けるばかりのようです。

 だって、全員ネコだから。

 さて「ネコに小判」という有名な言葉がありますが、ネコは本当に小判に興味がないのでしょうか? そんな素朴な興味から、藤崎さんは自社社員でテストしてみることにしました。しかし本物の小判は高価なので、代替品を用意することにしました。

 この味わいあるデザインの作品、名付けて「ぬ小判」。「ぬこ」と掛けたネーミングですね。自社のNC加工機で、厚さ8mmぐらいのケミカルウッドを延々と面挽きして作ったそうです。「フォントは思いっきり崩して、ヘタウマ的なぬこっぽさを表してみました。極太のラインは社員2号のしっぽがモチーフです」(藤崎さん)。


製作過程

 さて、かわいらしくできた小判で、早速実験してみましょう。早速、社員1号「のこ」さんがちょっとだけ関心を示してくれたようです。さすが古参社員。多少は空気が読めるようです。


「ふんふん……、おやつですかね」


「おやつではないのですね」

 まだ若手である社員2号の「あめ」さんは、ぬ小判に見向きもしないどころか、「くだらん」と嫌悪感をあらわにしています。のこさんの対応と比べると、若者らしい青さを感じます。


「ばかにすんな」

 「そんな顔しなくてもいいのにとさえ思いました」と残念な気持ちを述べた藤崎さん。でも、あの……、こうなることは分かりきっていたのではないのですか? まあ、製作に結構手間が掛かったみたいですからね……。実験結果は、案の定というわけでした。

 ……で、納得いきましたか? 藤崎さん?

ぬ小判の加工工程と使い方まとめ

  1. ケミカルウッドの端切れを加工しやすいサイズに切断
  2. 面を挽く(両面)
  3. 文字を彫る
  4. 裏返して肉球を削る(島加工)
  5. 外形を切り出す
  6. 黄色く塗る
  7. 黄色が乾いたら黒を塗る
  8. ネコに嫌われないようによく乾かす
  9. ネコに与える
  10. ネコに華麗にスルーされる
  11. 遺憾の意を示す



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