モノフェスで見た、面白アイデアの事業化事例:サムライたちの集い「第3回 サムライモノフェスティバル」(3)(3/3 ページ)
2月15日開催の第3回 サムライモノフェスティバル」では、「誰でもブランドを立ち上げられるサービス」「ボタンを押すと拍手するおもちゃ」「匂いが出るガジェット」など、面白アイデアを実際に事業化した事例が多数展示されていた。
既存の事業を“メイカーズ”させる
スタートアップだけでなく、既存事業を生かしてメイカーズのような考え方を持ち、新しい分野に進出する企業も出展している。
町工場のニットーがクラウドファンディングサイト「zenmono」に出展しているのが、商品の360度写真が簡単に撮影できるガジェット「くるみる」だ。ヌンチャクのようにiPhoneを振り回すケース「iPhone Trick Cover」に続き、2つ目の同社新製品だ(関連記事:「定時後のロッキー、iPhoneを振り回す」)。
まず中央の台に被写体を載せてiPhoneをセットすると、被写体のまわりでiPhoneがスムーズにクルクルと回り出す。専用アプリを使って、被写体を360度回した写真を撮影する仕組みだ。手回しなので回転速度は一定ではないが、iPhoneに付いているジャイロセンサーを使うことで画像が補正され、非常にきれいな360度写真になる。
家電企業の大手であるパナソニックもブース出展していた。同社は、クラウドソーシングサービス「ランサーズ」を使って、デジタルカメラ「LUMIX」の外装デザインを社外の一般デザイナーから集め、それを商品化している。ブースでは、その多様な外装ペイントのLUMIXを展示した(関連記事:「日本のモノづくりはこれからどうなる? ――大企業と中小企業、それぞれの思い」)。
そもそもパナソニックのような大手企業がデザインでクラウドソーシングを利用することが珍しく、会場内で行われたセッションにも多くの聴衆が集まっていた。
Maker Faireとの雰囲気の違い
会場内には自社開発の3Dプリンタを展示しているブースが並ぶなど、ハードウェアのイベントらしい雰囲気もあるが、Maker Faireとはだいぶ違っていた。
同じメイカーズ系イベントであるモノフェスとMaker Faireだが、以下のような両者の雰囲気の違いが感じられた。
まず客層面で雰囲気の違いが見られた。Maker Faireでは親子連れも多く見られるが、モノフェスはどちらかというと親子連れは目立たず、大人が落ち着いて展示物を見つめるといった感じだ。
モノフェスの展示物は、Maker Faireと異なり、初音ミク関連やレーザーカッター、手はんだで作ったような実験的なものが見られなかった。またMaker Faireでは、来場者から「なぜ作ったの?」「どうやって作ったの?」といった、whatやhowが中心の質問が飛ぶが、一方モノフェスでは「この後の展開は?」といった、あくまで展示物を事業(ビジネス)として見た質問が多くなっていた。
モノフェスのブース出展は40組と、大きな規模のイベントとはいえない。しかし今後、自分たちで思い付いたハードウェアを実用化して事業につなげる人たちが増えてくるにつれ、その規模はだんだん大きくなっていくのではないだろうか。次回のモノフェスに、一体どのようなハードウェア企業が現れるか、今から楽しみだ。
Profile
高須正和(たかす まさかず):@tks
ウルトラテクノロジスト集団チームラボ/ニコニコ学会β実行委員。趣味モノづくりサークル「チームラボMAKE部」の発起人。未来を感じるものが好きで、さまざまなテクノロジー/サイエンス系イベントに出没。無駄に元気です。
筆者からのお知らせ
「第6回のニコニコ学会βシンポジウム」を幕張メッセで開催します。ニコニコ超会議3と共催です。こうご期待!
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