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「日本で作って世界で勝つ」――オークマが“夢工場”で描く未来とはメイドインジャパンの現場力(3)(2/3 ページ)

工作機械大手のオークマは2013年、本社敷地内で新工場を稼働させた。「Dream Site 1」と名付けられた同工場は、部品加工から完成品まで一貫生産しIT活用による“見える化”を推進したスマートファクトリーだ。オークマは“夢工場”でどういう未来を描いているのか。現地を訪ねた。

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24時間・週7日間稼働の自動工場

 「Dream Site 1(DS1)」は、素材投入、部品加工、ユニット組み立て、総組み立て、立ち会い検査、出荷までを一貫して行う、自己完結一貫生産工場である。工場は大きく分けて2つの工場部分に分かれている。部品や素材を加工する「加工エリア」と、これらの部品を組み立てる「組み立てエリア」だ。両工場ともに工場内は温度環境が一定にコントロールされており、品質の安定化が図られている。

 DS1は、工作機械の工場としては珍しい、24時間・週7日間稼働を実現している。これらの実現に向け、加工エリアでは、徹底的な自動化・省力化が進んでいるのが特徴だ。

部品加工エリア
DS1の部品加工エリア。大規模な加工設備が並ぶ姿は圧巻だ。使われている加工設備のほとんどは自社製のものだ(クリックで拡大)

 加工設備は、自社製の大型門形マシニングセンタ、横形マシニングセンタ、複合加工機、研削盤など最新の加工設備機 40台などを配置。さらにFMS(Flexible Manufacturing System)、ロボット、ローダー、切削液の自動供給装置、切りくずの自動回収システムなどを導入しており、徹底的な自動化を実現している。

 日江井氏は「自動化による省力化を徹底したことが特徴だ。FMSやロボットの採用、また切りくずの自動回収システムなど、多くの自動化技術を導入することができた。技術者が加工などの付加価値作業に専念できるようにすることを目指した」と強調する。通常「自動化」は少品種大量生産に向いたもので、少量多品種の工作機械の製造にはあまり向かないものだが、業務プロセスを見直すことで、柔軟な自動化を実現することができたという。

切りくずを回収する配管装置 加工部品エリアに張り巡らされた切りくずを回収するパイプ。切りくずは装置ごとに吸い上げパイプを通じて自動で回収される(左)。オークマの工作機械は非常に大きなモノも含まれている(右)(クリックで拡大)

キッティングエリアを新設しリードタイムを削減

キッティング・サブアッシー、エリア
新設した「キッティング・サブアッシーエリア」。組み立ての事前工程をこのエリアで行うことで総組み立て工程のリードタイムを低減することに成功した(クリックで拡大)

 一方の組み立てエリアでは、リードタイムの削減を追求した。従来は部品が出来上がる度に組み立て工程に送られていたが、組み立て現場では部品が探したり、そろうのを待つ時間などが多く発生していていた。そこでDS1では、部品エリアと組み立てエリアの間に「キッティング・サブアッシーエリア」を新設した。

 事前に、組み立てに必要な部品を、1台ごとに1日の作業単位でキットにしてまとめるキッティングや、部品の一部組み立てが必要な場合は、このエリアで組み立てを行う。これにより、総組み立てのリードタイム短縮を図るという狙いだ。

 日江井氏は「ユニット化、サブアッシー化を進め、実機生産と並行して行うことで、総組み立てのリードタイムを短縮できる。また、ユニットやサブアッシーとして保有できる状況が長くできれば、生産に柔軟性を生み出すことができる」と語る。

組み立て
組み立てエリアのようす(クリックで拡大)

 さらに、これらの工程や業務プロセスの改善をサポートしたのがITの活用だ。

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