オシャレなフランス車もダウンサイジング、PSAの新開発3気筒エンジンの実力は?:今井優杏のエコカー☆進化論(8)(3/3 ページ)
今回は、プジョーとシトロエンの両ブランドを展開するフランスの自動車メーカー・PSAが、Bセグメントの小型車に展開している新開発パワートレインを紹介。この新開発パワートレインのエンジンと同様に、気筒数を減らして燃費を向上するダウンサイジングトレンドについても取り上げる。
それじゃ2気筒エンジンにしたらどうなる?
じゃあさらにもう1本減らして2気筒にすりゃ、もっと燃費は伸びるんじゃないないのという問いもあると思いますが、単純に考えれば答えはイエス(走行状況にもよりますけどね!)。それを実現しているのが、フィアットの「500(チンクエチェント)」が積んでいる「ツインエア」というエンジンです。直列2気筒でかなり珍しい設計のエンジンですが、実際に街を走っている車両に搭載されているんだから、実現は不可能じゃないんです。
しかし、ただ減らせばいいってもんでもないのが、快適性の部分。
気筒が少なくなれば出てくるのが「振動」の問題。
3気筒の場合、それぞれのシリンダー内でピストンが上下するとき、4気筒のように2本の気筒の動きともう2本の気筒の動きによって力を相殺してを打ち消すことができないため、振動が発生します。
PSAの新パワートレインでは、その振動と逆位相でバランサーシャフトを回転させることにより問題を解消しています。日産自動車のノートは、バランサーシャフトを使わずにエンジンのマウントなどでこの振動を解消した優等生の例です。
まあ、バランサーを使う使わざるに関わらず、何らかの対策をしなければ居住性が低下するのは確実なわけです。
ちなみにその振動を一番感じやすいのはアイドリング時です。PSAが今回ようやく後発中の後発としてアイドリングストップが可能なストップ&スタートシステムを搭載したことは、燃費だけでなく居住性の向上にも貢献しており、一石二鳥の効果が得られています。
それじゃ2気筒になるとさらに振動が増えるのかといえば、これは「イエス&ノー」。振動特性が変わるんです。
フィアットのチンクエチェントの場合、乗ってみるとテキメンに感じるのですが、振動をもキャラクターに昇華している部分が素晴らしい。決して乗り心地が素晴らしいワケではないのに、その振動すらキャラの一部として愛らしく思えてくるから不思議です。いわばキャラ勝ちってやつですね!
ただしこれは全てのクルマに通用する作戦ではなく、今のところチンクエチェントくらいでしか成功していません。レアケースと言っていいでしょう。
現在は、この3気筒だけでなく、先代モデルよりも気筒数や排気量を減らしたダウンサイジングエンジンがモデルチェンジのトレンド(というか燃料費の高騰やCO2排出規制の強化など必要に迫られてそうなっちゃってるんですけど)ですが、これは決して悲観するものではないと思います。
さすがに「クルマはV10じゃなきゃ!」なんていうアメリカン思想のマッチョガイは激減しているとは思います。とはいえ、どんどんエンジンが小さくなると、クルマがつまらなくなっちゃうと考える人はいるかもしれません。
ですが、少なくとも今回紹介したPSAの4台は、どれもかなり面白い!
エンジンがちっちゃくなってもきちんとドライブの歓びは継続されているんです。うそだと思うなら、一回試乗してみてください。かなりワクワクしますよ!
あ、そうそう、余談ですがプジョーの208にはマニュアルトランスミッションも用意されています。これも新エンジンと相性抜群! アンチAT派にもオススメです。
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