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オシャレなフランス車もダウンサイジング、PSAの新開発3気筒エンジンの実力は?今井優杏のエコカー☆進化論(8)(2/3 ページ)

今回は、プジョーとシトロエンの両ブランドを展開するフランスの自動車メーカー・PSAが、Bセグメントの小型車に展開している新開発パワートレインを紹介。この新開発パワートレインのエンジンと同様に、気筒数を減らして燃費を向上するダウンサイジングトレンドについても取り上げる。

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「イマドキ5速……」とがっかりさせる風のトランスミッションが快適

 しかも、です。

 先日私は報道解禁に先駆けて行われたジャーナリスト向け試乗会で、このパワートレインを搭載する全てのモデルに試乗してきました。これが実にイイ!! んだな!

 これまでPSAのBセグメント車には、BMWと共同開発したエンジンが搭載されていました。一番小さいエンジンで排気量1.4lのNAだったわけですが(ちなみに排気量1.6lエンジンもあって、こちらはNAとターボの両方が存在しました)、正直それと比べてトルクもパワーも何の不足もありません。むしろ何も聞かずに乗せられたら、「このターボ、パワフルですね!」とか思わず言っちゃうかもしれないくらい、まるで過給したかのような押し出し感を感じさせてくれます。とにかく吹けが軽快で快感。

PSAの新開発パワートレインに用いられている、排気量1.2lの3気筒エンジン(左)と5速トランスミッション「ETG5」(クリックで拡大) 出典:プジョー・シトロエン・ジャポン

 心配なのは「イマドキ5速って……」と一見がっかりさせる風のトランスミッションですが、これが悪くないどころか、なかなか快適なんですよ!

 マニュアルトランスミッションをベースにしたシングルクラッチの2ペダルマニュアル、いわゆるセミATです。これにはシングルクラッチという構造上、シフトダウンやシフトアップの際に若干のタイムラグがあって、最近のデュアルクラッチとかCVT(無段変速機)とかいう文明の利器に甘やかされまくったカラダには、ちょ〜っとだけ古臭さを感じてしまうフィールではあるのですが、その制御はさすが最新のもの。

 特に燃費方面へのアプローチに関しては、高速道路を時速80kmで走る際にも、5速でエンジン回転数は2500rpmくらいに抑えられていました。試乗会という、クルマの評価のためにあえてエコドライブを除外するような運転をしている(つまり結構アクセルを踏んでいる)ような状況でありながらも、実燃費は試乗全体の平均で14.2km/lとかなりの伸びをみせたことには感激しました。

 さらに特筆すべきはその静粛性の高さです。

 高速道路を巡航していても、山道を駆け上がっていてもかなり静か。加えて言うならフランス車らしいアシのしなやかさ、いわゆるネコ足も、軽量化のためか戻ってきた印象。

 ラリーで目覚ましい成績を持つシトロエンの、コーナーのときに“にちゃ〜っ”と粘るしなやかなサスペンションの動きにはついニンマリしてしまったほどです。

3気筒エンジンについて考える

 インプレッションはこれくらいにして、特にここのところよく聞く3気筒エンジンについて考えてみたいと思います。

 ちょっと前までなら「え、それって軽自動車のこと?」的な、小排気量エンジンの代名詞だったようなイメージですが、グローバルでは今この3気筒エンジンが激モテ!

 例えば、輸入車ならフォードの「フィエスタ」、フォルクスワーゲンの「up!」、ダイムラーの「smart」。

 日本車でも、トヨタ自動車の「ヴィッツ」、「パッソ」などなど、三菱自動車の「ミラージュ」、日産自動車の「ノート」に搭載されています。

 そのモテの秘密はズバリ「ローコストでできて、確実に燃費がいい」からです。

 「プリウス」や「アクア」、「フィット ハイブリッド」などのハイブリッドシステムに代表される、これまでの動力(エンジン)にプラスアルファの動力(電気モーター)を付けて燃費を伸ばすという方法は、そりゃ確実に有効です。だけど、そのシステムの複雑さから開発にも時間がかかり、また部品と製造工程の煩雑さからどうしても1台当たりのコストが上がってしまいます。

 しかしながらエンジン自体が小さければ、アクセルをやみくもに踏んだってたかだか3気筒ですから燃費が悪くなりようがないし、気筒が少なければそれだけエンジン全体の重量も軽くて済みますよね。他に何か付け加えるわけでもないので、既存の技術で開発/製造できますし。

 PSAの新パワートレインに搭載された排気量1.2lの3気筒エンジンの場合、先代エンジンである排気量1.4lの4気筒エンジンに比べて燃費は25%向上していますから、その効果はテキメンというところ。

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