比喩とQC7つ道具を使って、小難しい話を分かりやすくしよう:甚さんの「コミュニケプレゼン」大特訓(5)(2/3 ページ)
誰かに専門的なことを説明するときは、なるべく簡単なことに置き換えて説明しよう。カレーライスのように身近で親しみやすい例がよい! 自分自身の理解度が甘ければ、比喩もうまくできないかも。
コミュニケプレゼンにおける比喩
まず、コミュニケプレゼンにおける比喩の一例を見てみましょう。
「甚さんシリーズ」で、よくある感じの会話?
設計書がない日本の企業、設計書を書けない日本人設計者。そして、「設計書なき設計審査」をやっているのが、日本企業。甚さんもご存じの通り、うちの会社もそうです。
オメェらは一体、何を審査しているんだ、あん?
審査していないですね〜。実質、技術説明会ですから。だから終了後は全て承認。却下がないから、再審査もなしです。あ、そもそも審査していないんだから、“再”もないか。
例えば、車検ならクルマ、文学賞なら小説、ミスコンなら若い女性、歌唱賞なら楽曲、ノーベル賞は、いろいろあるが……、とにかく対象となる人やモノの合否や良しあしを判断する。それが審査というもんだろう。あん?
つまり僕らの会社には、審査の対象がないってことですね。前々から分かっていたけど、ますますイヤんなってくるなぁ……。僕もエリカちゃんと一緒に転職しようかなぁ……。
このように、比喩では、必ずといってよいほど、「例えば」あるいは「〜に例えて」という表現を使います。「例えば」の前が難解な文章や単語、その後ろは、誰にとってもやさしい単語や文章を用いて、という風に、相手とのコミュニケーションを図ります。
甚さん、よく分かりました。この例でも車検とか文学賞とか、技術者でなくても身近な言葉を出していましたね。
人事面接でも応用が利きますね! ところで、さっき出てきた「QC7つ道具」(表2)の事例も教えてくれませんか?
次に、甚さんの「バンバン板金設計でキャリアアップ」(4)「超カンタン! 板金部品の設計見積もりをしてみようぜぃ」でも解説した、日本人技術者が苦手な「コスト(原価)」について、QC7つ道具を応用した比喩のシーンを見ていきます。
みんな大好き
原価とは、英語ではコスト(Cost)。さらに原価とは、利益を含まない仕入れ値だ! それを知らねぇのは、オメェら日本の技術者だけだぜぃ! 例えば、原価知らなくてよぉ、そば屋、ラーメン屋、寿司(すし)屋、弁当屋の商売ができるかよ? あん?
「もっとまけてくださいよ!」「お客さん、これ以上まけたら原価割れだよ。勘弁してください!」。仕入れ値よりまけたら大赤字ですね!
そんじゃこれから、みんな大好きカレーライスに例えてみようじゃねぇかい。定価800円のカレーライスの原価を分析するぜぃ!
カレー大好き〜。カレーって、野菜がたくさん入っているし、カロリーをキチンとコントロールすれば、ダイエット食にもなるんですよね〜。
僕も大好き〜。学食のカレー、社員食堂のカレー、コンビニのカレー弁当、レトルトカレー、CoCo壱番屋のカレー、ホテルニューオータニ長岡の五十六(いそろく)カレー、そして、一番好きなのは、お袋のカレー。でへっ。
そんじゃ、図1を見ろ! 定価800円のカレーライスの原価は、266円だぁ!
これと同じこと、寿司屋の父も当たり前のようにやっていました。
図1では、原価が266円になる要因について、表2のQC7つ道具の一番目にあった「パレート図」を用いて表現しました。もし、この原価分析をパレート図なしに説明しようとしたら、何度説明しても相手は理解してくれないでしょう。
大好きなカレーが題材だと、難しくなりそうな原価の解説も親しみやすく、分かりやすくなるわぁ。
それが比喩の醍醐味だ!
甚さん、学問としての「QC7つ道具」はよく理解していたつもりですが、原価分析にパレート図を使うという実務的な例はインパクトありますね〜!
やけに素直じゃねぇかい、役立たずに院卒が! 「永遠の0」もようやく卒業か?
甚さんって、本当にしつこいですよね。国木田さんをいじめ過ぎではないですか?
てやんでぇ。
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