クリーンディーゼルの小型化が可能なEGRバルブユニット、デンソーが開発:エコカー技術
デンソーは、ディーゼルエンジンの排気ガス浄化に用いられるEGR(排気再循環)システムを構成する部品のうち、吸気絞りバルブとEGRバルブを一体化したEGRバルブユニットを開発した。両部品を一体化したのは「世界初」(同社)であり、従来と比べて体積を半減できているという。
デンソーは2014年2月18日、ディーゼルエンジンの排気ガス浄化に用いられるEGR(排気再循環)システムを構成する部品のうち、吸気絞りバルブ(弁)とEGRバルブを一体化したEGRバルブユニットを開発したと発表した。両部品を一体化したのは「世界初」(同社)であり、従来と比べて体積を半減できているという。2014年内に欧州で発売される乗用車に採用される予定だ。
現行のディーゼルエンジンでは、エンジンへの空気の流入量を調節する吸気絞りバルブと、排気ガスの流入量を調節するEGRバルブは別々の部品として車両に搭載されている。今回開発したEGRバルブユニットは、これら2つの部品を統合することにより、ダクト(配管)の一体化やコネクタ(配管接続用の部品)の削減が可能になったため、体積が従来比で半分になった。
EGRバルブユニットには3つの特徴がある。1つ目は、小型化によってEGRシステムが設置されるエンジン周辺にスペースの余裕ができるので、自動車メーカーの設計自由度を高められる点である。2つ目は、モーターとセンサーの削減による低コスト化だ。従来、バルブの開閉を行うモーターと、バルブの開閉角度を計測するセンサーは、吸気絞りバルブとEGRバルブにそれぞれ1個ずつ搭載する必要があった。しかし、EGRバルブユニットでは、2つのバルブの統合によりモーターとセンサーを1個ずつ削減できている。3つ目は、自由度の高いカムリンク方式による2つのバルブの結合である。エンジンの排気量や出力などが異なる場合でも、カムプロフィール(結合部分の形状)のみを変更すれば対応可能な仕様になっているという。
クリーンディーゼルで注目されるLPL EGRシステム
ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を低減するのに用いられているのがEGRシステムである。EGRバルブ、絞りバルブ、高温になる排気ガスの温度を下げるEGRクーラーから構成されており、排気ガスの一部をエンジンに再循環し、燃焼温度を下げることでNOxの発生を抑える機能を持つ。日米欧の厳しい排気ガス規制に対応したクリーンディーゼルエンジンを実現する上で必須のシステムとなっている。
現在、EGRシステムは、排気経路の上流から排気を分流させるHPL(High Pressure Loop)が主流。しかし、多くのクリーンディーゼルエンジンで利用されている、排気ガスのエネルギーを利用してエンジンに強制的に空気を送り込むターボチャージャなどの過給機にとって、その上流から排気を分流するHPLは、過給機に用いるエネルギーが減少し、高い出力が得られにくくなるという問題がある。そこで、過給機に用いるエネルギーが減少しない、排気経路の下流から排気を分流させるLPL(Low Pressure Loop)に注目が集まっている。
デンソーは2011年2月から、同社初のLPL EGRシステム用EGRバルブの量産を開始。2012年11月からは、吸気絞りバルブとEGRバルブを別体で搭載したLPL EGRシステムを量産している。今回開発したEGRバルブユニットは、LPL EGRシステム向けとして開発したという。
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