これはまさに夢の企画――巨大ロボが殴り合う「リアルロボットバトル」に密着してきた:『ロボット日本一決定戦!リアルロボットバトル』の舞台裏(3/4 ページ)
日本テレビ系列で2013年12月13日に放送された『ロボット日本一決定戦!リアルロボットバトル』の収録現場に密着。勝つか負けるかの真剣勝負に挑む、個性あふれる等身大リアルロボットたちの熱き戦いを“舞台裏”からリポートする。
1回戦第3試合
1回戦の第3試合は、「キングカイザーZ」(マルファミリーチーム)と「鉄人10号」(愛知工業大学・鉄人プロジェクトチーム)のヒーローロボット対決。
マルファミリーもROBO-ONEで優勝経験がある実力者で、今回唯一の家族チーム。「キングカイザーZ」は、“過去最大”のキングカイザーとなるが、父親の丸直樹氏が設計・製造し、息子たちが操縦するというスタイルは従来と同じだ。ただ、今回は末っ子の三男がロボットバトルに初参戦ということもあり、3人で協力して操縦する方式。マスタースレーブを装着した二男が上半身を操作し、長男は下半身の移動を担当。三男は必殺技の「チェーンナックル」を動かす。うまくいけば、移動しながら攻撃するようなことも可能になるが、それには兄弟の意思の疎通が不可欠だ。
関係者の間では、優勝候補として「HJM-47」と「キングカイザーZ」を推す声が多かったが、攻撃力の点で見ると「キングカイザーZ」は非常に強力な武器を持つ。まず、通常技のパンチ攻撃「カイザーインパクト」が、ブロック割りが可能なほどの破壊力を秘めている。内蔵したエアシリンダーでナックルが10cmほど飛び出す仕組みになっており、これを使えば腕を伸ばした状態からの攻撃も可能だ。必殺技のチェーンナックルは肩から出したチェーンで、相手の頭部や肩のコアを狙う。なお、チェーンナックルは自動展開・自動収納も可能になっており、非常に芸が細かい。
一方、今大会で唯一、2足歩行にチャレンジしていたのが「鉄人10号」だ。前述の通り、ルール上は2足歩行である必要はなく、他のチームは車輪駆動タイプになっていたのだが、ロボットイメージへのこだわりから、あえて速度的に不利な2足歩行を採用したそうだ。残念ながら、マシントラブルから本番の試合では2足歩行を披露できなかったのだが、このチャレンジは評価したい。
試合では数分で止まってしまい、TKO負けとなった「鉄人10号」。実力を発揮できなかったが、ナックル部分に搭載したカメラでコアを捕捉し、軌道計算でパンチを繰り出すなど、技術力は非常に高かった。ちなみに「鉄人10号」は試合後、急に動き出して転倒、大破するという衝撃的な結末になったのだが、これはモーターが冷えてきて過熱防止用の保護機能が解除されたことで、ロボットが自動的にホームポジションに戻ろうとし、バランスを崩してしまったのだとか。
1回戦第4試合
1回戦の残りの1試合は、「ReASS」(沼津工業高等専門学校・青木研究室チーム)と「GANTON-52」(日本大学理工学部・精密機械工学科チーム)による、高専と大学の戦い。
「ReASS」は、欠歯歯車とゴムの復元力を利用した高速な左パンチを持つロボット。最強の武器は、必殺技として肩の上に乗せたピッチングマシンで、ここからテニスボールを12個発射することが可能だ。発射スピードは100km程度とのことで、これでコアの大量破壊を狙う。本当は画像認識も使うつもりだったが、処理が重くなるため今回は見送ったそうだ。
一方の「GANTON-52」はパワーが持ち味の最重量級ロボットである。「GANTON-52」のパワーの源はなんと油圧。腕4軸×2、腰1軸の計9軸全てを油圧シリンダーで動かしている他、オムニホイールの駆動用には油圧モーターまで搭載しており、フル油圧駆動を実現した。そのために、250ccのガソリンエンジンを内蔵する。
試合は序盤、「ReASS」が軽快なフットワークを見せるが、左方向に回り込もうとした際にバランスを崩してしまい、まさかの転倒。起こしてからなんとか試合は再開できたものの、足が止まり、頼みのピッチングマシンも壊れた満身創痍の状態に……。パワーで押し切った「GANTON-52」が4−0で勝利した。
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