トレンドマイクロ、集中管理機能を備えた閉鎖環境向けウイルス駆除ツール発売:FAニュース
トレンドマイクロは、スタンドアロン/クローズド環境向けウイルス検索・駆除ツールの新製品「Trend Micro Portable Security 2」を発売した。
トレンドマイクロは、スタンドアロン/クローズド環境向けウイルス検索・駆除ツールの新製品「Trend Micro Portable Security 2(以下、TMPS2)」を、2014年1月27日から受注開始した。
「Trend Micro Portable Security(TMPS)」は、インターネット接続されていない環境で使用する端末に接続してウイルス検索・駆除を行うセキュリティツールだ。
従来、製造業の生産設備などインターネットに直接接続されていない専用端末については、セキュリティ対策が不要だと考えられてきたが、イランの核施設のシステムを破壊したマルウェア「スタックスネット(Stuxnet)」に代表されるように、必ずしもクローズド環境のネットワークが安全だとはいえない状況になっている(関連記事:制御システムを狙ったマルウェア「Stuxnet」って何?)。
また、生産設備やプラントを対象と考えた際、企業は世界各地に複数の拠点を持つ場合が多くこれらの拠点全てにセキュリティ担当者を配置するのはコスト面でも難しい。そのため、セキュリティの詳細については拠点任せになってしまい、企業全体としてセキュリティ状況を把握することが難しいという課題を抱えている。
集中管理機能を新たに搭載
これらのニーズに応える機能を充実させたのが新製品のTMPS2だ。
従来製品のTMPSから備えていた閉鎖環境でのウイルス検知・駆除機能に加えて、TMPS2では新たに「集中管理機能」を搭載した。遠隔地にある支店や生産・保守拠点などにある検索ツールに対しても、管理者がウイルス検索の設定を反映したり、検索ログを集約したりすることが可能となる。検索ツールの検索ログを一元的に把握することができ、ITガバナンス強化に貢献する。
管理プログラムを使用しないモードを選択することにより、既存製品のように管理用端末を用意することなく、汎用端末を用いてパターンファイルのアップデートやログの閲覧が可能。管理用端末を別途用意できない場合でも、簡単にセキュリティ対策を行える。
また、ウイルス検索を行う現場での簡単な運用を実現するため、検索ツールにLEDを搭載。検索ステータスと結果を3段階(青色:検出なし、黄色:検出・駆除済み、赤色:検出・駆除処理待ち、検索中はLEDが点滅)で通知可能としている。担当者が検索対象の端末の画面で検索状況を逐一チェックする必要がないため、業務効率を妨げることなく、検索状況・結果を確認できるという。
トレンドマイクロでは今後、北米、欧州、東南アジア、オセアニア地域など、日本を含む40カ国以上でTMPS2の提供を進めるとしている。参考標準価格は2万8800円(新規1年版、税別)で、今後3年間で同シリーズでの販売額10億円を目指しているという。
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