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設計業務も技術コミュニケーションも「6W2H」が基本中の基本甚さんの「コミュニケプレゼン」大特訓(3)(1/3 ページ)

小学校の作文の授業で習った覚えがある「5W1H」。これを満たせばすっきりと正確に説明できること請け合い。でも、設計業務においては、それだけでは足りなくて……。

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当連載の登場人物

甚

根川 甚八(ねがわ じんぱち)

根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん

良

国木田良太(くにきだ りょうた)

ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。甚さんいわく「イマドキな若者」。機構設計者。通称、良君


エリカ

沢田恵梨香(さわだ えりか)

ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。


設計技術者にとっての修行

甚

エリカちゃんよぉ、オメェの親父は駅前の寿司(すし)屋の大将だよなぁ? 一人前の寿司職人や和食の料理人になるための流れを教えてくれねぇか? あん?


エリカ

あまり詳しくは知らないんですが……、こんな感じですね(図1)。



図1 寿司や和食の料理人になるための修行ステップ

 料理人のステップの1〜5まで、つまり半分以上が「修行」なのです。

甚

大事だから何度も言うが、今の時代の技術者にとっての修行、その第1ステップは「コミュニケプレゼンスキル」の習得だぜぃ! 構想設計の方法や設計テクニック、製図テクニックは、その後だ。


 「3次元CAD」「CAE」「3Dプリンタ」「図面レス」「試作レス」……これらに興味を持つことは、技術者としての必要なことです。しかし修行もろくにせずに、いきなりここから入るなら、料理人や職人たちから罵声を浴びることでしょう。

良

あれ? 甚さん、図1にはそれが書いていないんですが、ひょっとして料理人は、コミュニケプレゼンスキルが必要ないとか?


甚

いんや、それは違うな。


 昔の料理人は、和食、洋食問わず寡黙でした。しかし今、「ミシュランガイド」などのように、料理や店をランキングするような競争時代になると、どんなに技量のある料理人でも認知されるのは難しい時代となり、それではうまくいかなくなりました。

 そこで近年、新米の料理人のうちから鍛えているのが「接客法」です。これは筆者の高校時代の友人で、洋食店を営む料理長から実際に聞いた話です。接客法は、将来の料理長たるものが客にお世辞を言い、ゴマをするためのものではありません。真の料理人とは、「お客さまの表情を見て作れ! 表情が見えない厨房に隠れているな!」という時代になったのです。

 客とのコミュニケーションが取れなければ、いつまでたっても「我流」「オレ流」の自己満足的な料理を出し続けることになります。客の要望と時代の変化、味覚の変化をリサーチできません。

 もちろん、設計技術者も同様です。

良

そうそう。前回教わった「ラポール」って、料理人や職人、設計技術者の基本姿勢といえますよね! 社内のコンサルタント役をなす僕らCAE部隊にとっても、最も必要なコミュニケプレゼンスキルだと思います。


エリカ

私もそう思います。今、うちの技術者全員が、ラポールが欠けているような気がするんですよ。多分、あの頃から……。


良

あの頃とは?


エリカ

成果主義を導入した時ですよ! これって結局、皆が自分勝手になってしまうだけなんですよ。前回も言いましたが、私が派遣契約を切りたい理由の根源はきっとここなんだと思うんですね……。


良

ああ、な〜〜るほど! ザ、ワールド。だから、うちの課長もああなってしまったのか。実際、成果主義のことを「自分主義」って言っていたし。


エリカ

甚さん、知ってますか? うちの課長って、検図もできないんですよ! さらに部長は、英語と退職金と年金とゴルフしか興味がないんです! ……そうだ、部下たちに背を向けた部長のPCの画面は「株式情報」でしたね! フン! どうかしてるわ、アイツら!


良

今回も、ついに“エリカさま”降臨。


甚

エリカちゃん、まーまー、そう怒るな。どうどう。


エリカ

……(甚さんには言われたくないけど)。


甚

オメェらの会社はよぉ、反面教師ばかりで、結構じゃねぇかい、あん? ラポールがなきゃよぉ、あの「ビフォーアフター」も番組が成り立たんぞ。建築士は、何度もお客さまと打ち合わせをしてるじゃねぇかい。


 確かに建築士は立派ですね。何度もお客さまと打ち合わせをして、常に、基本姿勢はラポールですね。つまり、「相手の気持ちになれること」「相手の気持ちを伺うこと」ですね。甚さんの言うとおり、これをなくして、テレビ番組の『劇的ビフォーアフター』も成り立たないのです。

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